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2021.09.27

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日本語能力試験JLPT – 認定をどう評価するか


日本語能力試験(JLPT)は、日本語を母語としない人たちの日本語能力を測定し、認定するための標準化された基準参照テストです。日本語能力試験の中では、おそらく最もよく知られている試験です。漢字の知識、文法、読解力そして聴解力などが測定されます。

今回の記事では、JLPTはどのような能力を試験するのか、JLPT試験を受けるべき人とはどのような人なのか、雇用側は従業員や採用応募者のJLPT認定をどう評価すべきか、そして、JLPTは翻訳者のための認定なのか、などの点にスポットを当ててみたいと思います。

1. JLPTのレベル

JLPTには、認定の目安となるレベルがあります。レベルは2009年までは4段階でしたが現在はN1~N5の5段階のレベルがあります。最も易しいレベルがN5で、最も高いレベルがN1です。ビジネス環境で日本語を使う場合、N5~N3では不十分と見なされる場合が多く、日本語能力を必要とする求人広告の多くは、N2を最低要件としています。N2は日常生活や様々な場面で使われる日本語をある程度は理解できることを認定するものであり、N1は幅広い場面で使われる日本語を理解できることを認定します。

2. JLPTによって試験される日本語能力

 JLPTは、日本語を理解する能力のみを問うものです。試験形式はマークシート方式による多岐選択型で、文法、漢字、読解、聴解に関する問題が出題されます。英語のTOEIC Listening and Readingテストに似ています。

JLPTには日本語の会話や作文の試験がないため、日本語でのコミュニケーション能力を測るものではありません。N1に合格した人は、日本語の新聞を読むことができ、職場での日本語コミュニケーションの理解には問題ないはずですが、N1合格者の日本語の自己表現能力については未知数です。

3. JLPTを受けるべき人

 上で述べたように、N5からN3までのレベルは、「日本語を使って仕事をする」という意味では不十分です。N5~N3レベルは日本語学習者にとって上達度合いを確認したり、目標として設定したりするには有用ですが、ビジネス目的で見るとせいぜい「履歴書に書けたらいいな」くらいのレベルにすぎません。受験は有料であり、それに加えて会場までの交通費だって自腹を切ることを考えると、N5~N3の下3つのレベルは飛ばして、必要な語学レベルに到達し次第、N2から受験をスタートするのが費用的に最も負担の少ないやり方かもしれません。

日本語知識を求められる仕事に就きたいと考えているなら、一般にN2は最低要件であり、やはりN1が好ましいでしょう。これを必須としている企業もあれば、任意としている企業もありますが、一般的には、認定を持っている応募者の方が、持っていない応募者よりも優遇されるでしょう。

4. 雇用側としてJLPTの認定をどう評価すべきか

 上で述べたように、JLPTは日本語の「書く」「話す」能力を測定するものではありません。N1に合格した人でも、日本語の会話については能力不足かもしれません。N1やN2に合格した人には、「読む」「聞く」の面では一定の能力を期待できますが、「書く」「話す」の面では、応募者のスキルを別途、確認したほうがよいでしょう。

また、JLPTの認定には有効期限がないため、一度合格したら普通は二度と受験しないことも心得ておくべきでしょう。試験の合格から数年が経過している場合には、時間の経過とともにスキルが低下している可能性もあります。

N1が好ましいかもしれませんが、業務内容によってはN2で十分な場合もあります。難しい日本語の文章を読むことが仕事の一部である場合は、たしかにN1が推奨されますが、職場内でのコミュニケーション目的であればN2で十分でしょう。

5. JLPTは翻訳者のための認定か?

 いいえ、JLPTは翻訳者のための認定ではありません。JLPTが測定するのは、あくまでも日本語を理解する能力だけです。翻訳能力は含まれていません。日本語をよく理解していることは、日本語の翻訳をするための基本的な要件ですが、良い翻訳者になるためには、さらに別のスキルが必要です。

翻訳者をお探しの場合、JLPTに加え、翻訳分野での学習歴、経験、そして資格を確認するとよいでしょう。例えば、特許翻訳に関して言えばNIPTA(日本知的財産翻訳協会)の知財翻訳検定試験があり、様々な言語の組み合わせと技術分野において、特許翻訳に特化した翻訳能力の認定を行っています。トランスユーロには、この検定試験に合格した翻訳者が多数在籍しています。NIPTAの知財翻訳検定試験の合格者はこちらのリストに掲載されています

以下のリンク先に掲載されている過去のブログ記事では、NIPTA検定試験の受験体験が紹介されています。

JLPTやNIPTAの試験についてご質問がありましたら、ぜひコメントをお寄せください。トランスユーロの翻訳サービスの詳細をお知りになりたい場合には、お問い合わせフォームからご連絡ください。

 

 

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