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2021.03.29
特許翻訳
意外と知られていない?日本語特許翻訳文の様式についての4つのポイント
最近、特に海外のお客様から日本語の特許明細書の様式についてご質問を受けることが増えています。トランスユーロではPCT出願の日本への国内移行などの目的で英語やドイツ語の特許明細書を翻訳する際、日本の特許庁が指定している様式に則って翻訳文を作成しますので、お客様は基本的に様式を整える手間なくそのまま特許庁へ提出することができます。
日本の特許庁が指定している様式(特許法施行規則様式第29、第51など)は他の国の様式とは若干異なります。この記事では、私たちがお客様からよく受けるご質問にお答えする形で日本の特許明細書の様式についてお話ししようと思います。
1.4桁のアラビア数字を使う段落番号
日本の特許明細書では、PCTの翻訳文であっても「 【技術分野】 」等の項目の配下に段落番号を記録しなければなりません。段落番号は、補正をする際に一意に特定できるように明細書内に4桁のアラビア数字の連続番号で記録されます(4桁を超える場合は5桁で記録します)。したがって、最初の段落は「 【0001】 」と記録され、「 【1】 」とは記録されません。外国語のオリジナル明細書で4桁の段落番号が用いられていなくても、日本語への翻訳の際にはこの様式に従って段落番号を振り直しています。
2.【図面の簡単な説明】は一つの段落にまとめられている
アメリカの出願では、図面の説明が複数の段落に分けて記載されているものをよく目にしますが、日本の特許庁の様式では、図面の説明は、PCTの翻訳文であっても「 【図面の簡単な説明】 」の見出しを付し、その配下に段落番号を記録した上で、一つの段落にまとめられていなければいけません。この段落の中で、それぞれの図面についての説明は、図の説明ごとに行を改めて「 【図1】 」、「 【図2】 」、「 【図3】 」のように記載します。「図」とは英語の「figure」または「drawing」に相当します。
したがって、日本語の翻訳文では、図面の簡単な説明が1つの段落番号にまとめられてしまうので、「 【図面の簡単な説明】 」以降の段落番号は、外国語のオリジナル明細書の段落番号とは一致しなくなることもあります。このため、オリジナル明細書中の段落が日本語の明細書中のどの段落に相当するのかを見つけるのに苦労する場合もあります。
3.図番号は翻訳しなくてよい
PCT出願の場合、図面中に説明(書き込み)がなければ、国際出願時の図面がそのまま国内移行後の図面として扱われるので、図面の翻訳文の提出は不要となりますが、図面中に説明がある場合は当該図面についてのみ翻訳文を提出します。ただしその場合、「Fig.1」、「Fig.2」といった図面中の図番号は、図面のイメージファイルに含まれるのではなく、テキスト部分に記載されますので、図番号を翻訳する必要はありません。
日本の特許明細書の「 【書類名】 図面 」を覗いていただければ、上の「図面の簡単な説明」の場合と同様に「 【図1】 」、「 【図2】 」、「 【図3】 」といった表記を見つけられると思います。正しい図面の書式例については、日本の特許庁のホームページを参照してください。しかし、もし必要であれば、図番号の日本語訳をイメージに挿入しても差し支えありません。
4.テキストのスクリーンショットは通常翻訳しない
明細書によっては、ソフトウェアのスクリーンショットを図面の中に使用している場合があります。特許出願の場合、通常、そういったスクリーンショット中のテキストは翻訳しませんので、私たちも基本的には翻訳していません。もし翻訳の必要があるときは対応いたしますのでお知らせください。
別途ご指示がなければ、私たちは日本の特許庁が指定している様式に則って特許明細書の全文日本語翻訳文をご用意いたします。もしこれとは異なる様式をご希望の場合、または特定のご要望がある場合は翻訳ご依頼時にお知らせ下さい。ご要望に沿った翻訳文を作成し、滞りなく納品させていただきます。
トランスユーロの翻訳サービスをご検討の方は、お問い合わせフォームよりご連絡下さい。英日・独日特許翻訳または日英・日独特許翻訳をご提供しております。
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