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2020.12.14
特許翻訳
ドイツでの特許出願 - PCT・EPO・パリ条約
先のブログでは、日本における外国出願のための特許出願プロセスについて書きましたので、 今回は日本からドイツへ特許出願する際のプロセスについて説明したいと思います。このプロセスはかなり複雑なので、重要な部分のみを取り上げます。
1. ドイツで特許取得するために的確なルートを選ぶ
ドイツ国外からドイツへ特許出願する場合、出願方法に複数の選択肢があります。世界の複数の国で特許保護を求めたい場合は、PCTルートを選べばよいでしょう。PCT出願とは、特許協力条約(PCT)に基づく国際出願であり、PCT出願を利用すれば、一つの出願願書を提出することによって条約加盟国153カ国(2020年11月現在)の全てに同時に出願をしたのと同じ効果が得られます。出願後に、特許権を取得したい条約加盟国へ国内移行することが必要です。出願してから国内移行手続きをするまでの期限は、優先日から30(または31)ヶ月です。
主にヨーロッパで権利を取得したい場合は、欧州特許庁(EPO)への出願を選択すると良いかもしれません。ヨーロッパ特許条約(EPC)に基づき、単一の特許出願をすることで、ドイツを含む複数のEPO加盟国で効力を持つ欧州特許を取得することができます。
もし、自国およびドイツでのみ特許権を取得したいのであればパリ条約に基づくパリルートが最適でしょう。自国(第一国)で特許出願した後、その優先権を主張してドイツなどのパリ条約加盟国(第二国)に出願することができます。優先権主張の期間は、優先日(最初の出願日)から12ヶ月です。
2. 特許出願とドイツ語への翻訳
いずれのルートを選んだとしても、第一のステップは特許出願をすること、または国内移行をすることです。パリ条約に基づいたドイツへの出願や、PCT条約に基づいたドイツへの国内移行のためには、ドイツ語への翻訳が必要となります。パリルートの場合、ドイツ語以外の他の言語で出願しても出願日は認定されますが、出願日から3ヵ月以内にドイツ語の翻訳文を提出しなければなりません(ただし出願言語が英語またはフランス語の場合は出願日から12ヶ月以内)。PCT出願の場合は、翻訳文をあとから提出することはできません。つまり、ドイツ国内移行の際に提出する明細書は、最初からドイツ語で書かれていなければなりません。EPOへの出願の場合は、EPO公用語(英語、ドイツ語およびフランス語)であれば出願の段階で翻訳文は必要ありませんが、日本語などEPO公用語でない言語で出願された場合は、出願日から2ヶ月以内にいずれかの公用語への翻訳が必要になります。
3. 審査請求をする
ドイツへの出願の後に、特許出願の実体審査を開始するためには、審査請求をしなければいけません。審査請求の期間は、パリルートの場合は、元になる出願日から7年以内、PCT出願からドイツへ国内移行した場合は、国際出願日から7年以内となります。
EPOルートで出願した場合、審査請求の期限は少し異なって計算されます。特許が出願されるとEPOは関連する先行技術の調査を開始します。調査が終わると、調査結果とともに特許性に関する判断を示した見解書を含むEPO調査報告がEPOにより公開されます。その調査報告が公開されると、審査請求をするまで6ヶ月の猶予が付与され、審査請求をしなければ、その出願は取り下げたものと見なされます。
4. ドイツの特許査定と有効化
拒絶理由が発見されなければ、特許が付与されます。直接出願とPCT出願の場合、特許付与の後のステップはありません。特許証が発行され、特許はドイツの特許公報に載せられます。EPOの場合、EPOにより特許が許可された後に有効化のステップが追加されます。
特許保護を求めたい全てのEPO加盟国で有効化の手続きを踏むことになっています。いくつかの国ではこの段階で明細書の翻訳文を提出しなければいけませんが、ヨーロッパ特許条約締約国のうちロンドン協定に加盟している国では追加の翻訳文の提出要件が緩和されます。EPOの公用語の1つと共通の公用語を持っている加盟国などでは翻訳の提出が免除されるので、これらの国では、いずれのヨーロッパ特許も自動的に有効であるとみなされます。ドイツもそういった国の一つです。しかし、その後のドイツ特許庁とのコレポン作業などを考慮して、たとえばドイツ国内等の対象地域の代理人の住所を登録しておくことが推奨されています。
審査官によって特許出願に拒絶する理由が発見された場合、拒絶理由が通知され、出願人にはその拒絶理由に反論する機会が提供されます。
この記事が、ドイツへ特許出願するあなたにとってどの出願方法がベストチョイスとなるのかを判断する一助になれば嬉しいです。ドイツ語の特許翻訳が必要なときには、トランスユーロがあなたのベストチョイスとなることをお約束します。
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