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2019.08.19
翻訳一般
よく見かける翻訳ミス
これまでいくつかのブログ記事で、宜しくない、または正しくない翻訳文によって、想像以上にネガティブな事象が引き起こされることを書いてきました。今回は、いくつか実際にあった翻訳ミスをあげて、どのような結末に至ったかをご紹介いたします。
訳語を正しく選択しても、まだ足りない…
1987年、ブラニフ航空はスペイン語で、新しい革製のシートを宣伝しようとしていました。“Fly in leather”(革製のシートで空の旅を)という宣伝文は“Vuela en Cuero.”と翻訳されました。この翻訳は間違ってはいません。ですが、翻訳者はスペイン語のよく似た言葉で“en cueros”という言葉があることを意識していませんでした。“en cueros”とは”裸で“という意味になります。この宣伝文が、文章ではなくラジオやテレビの音声によって公開されると、同じ音なので聞き手には奇妙に聞こえるのです。現代でこそ、これは狙って実行された面白いキャンペーンのように理解されるかもしれませんが、1987年には、現代の「バズる」といった感覚は存在しませんでした。ブラニフ航空は、意図的な間違いや品のないジョークではないとして説明をしました。
その後、1989年にブラニフ航空は値下げ競争の激化や負債の増加を理由に倒産の届けを出します。このキャンペーン広告も倒産を早めた要因だったかもしれません。
(情報源: https://www.apnews.com/e5b7b6307e7dcd029c28927bca6dd5d6)
真逆に翻訳されることもある
HSBCホールディングスは世界の大手銀行の一つです。翻訳にも十分な予算を取り、質の良い翻訳で顧客に情報提供していると思うでしょう。ところが、HSBCホールディングスのスローガン“Assume Nothing(固定概念を超えていく)”がいくつかの国で“Do Nothing(何もしない)”という意味に訳されていたのです。ただでさえ投資することに対する一般の関心が低かった時代に、見込客を引き込むためのスローガン“Do Nothing(何もしない)”は、どういった効果をもたらしたでしょうか。
2009年、HSBCホールディングスは1千万ドルを投じて、先に出した“Assume Nothing“のマイナスな印象を塗り替えるため、ブランディング目的の広告を行いました。はじめから良質の翻訳者に依頼しておけば、断然安く済んだはずです。
(情報源: https://www.ft.com/content/77b58214-f6e3-11dd-8a1f-0000779fd2ac)
英語の音を借用して問題になることも
有名なロールスロイス社のモデル:シルバーシャドーがもともとはシルバーミストと呼ばれていたことをご存じですか?英語話者は「ミスト」に対して、形のない、エーテルのような、スモーキーで、神秘的な印象を持っています。特に悪い印象ではありませんよね?ドイツ語でミストが何を意味するかを知るまでは。。。ドイツ語でミストは「肥料」または「ガラクタ」を意味します。
幸運なことに、車の生産関係者の一人がこの点を指摘し、ロールスロイス社はぎりぎりのところでシャドーに変更したのです。これは、危ういところで問題になるのを避けられた例ですね。
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