「バターの塊をくり抜いた」と表現される都市ヌーシャテル

 

「禁断のお酒アブサン」「スイス時計」を始め、「日本で功績を残したスイス人」など過去の記事で複数回にわたってヌーシャテル州(Canton de NeuchâtelまたはKanton Neuenburg)の地名が登場したことを覚えていますでしょうか?

以前も申し上げたように、本ブログでは特定の地域をひいきにしておらず、スイスの各地方の魅力をご紹介したいと思っておりますので、同じ名前が度重なって挙げられたのは決して意図的ではなく、単なる偶然に過ぎません。

逆に、ヌーシャテル州はそれほど多くの魅力を持った地域ですので、皆様にはむしろそれがどのような場所で、どんな素晴らしさを持っているのかもっと知っていただきたいぐらいです。

したがって、今回はお酒と時計の名産地だけに留まらないヌーシャテル州の州都を担うヌーシャテル市をご紹介いたします。

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スイス発祥の五輪競技

 

東京オリンピック・パラリンピックがコロナの影響で1年も延期して開催されたこともあって、あの盛り上がりをついこの間のことのように感じている人も少なくはないと思いますが、半年後にはパリで次のオリンピックが待ち構えており、各種準備もいよいよ大詰めを迎えていますね。

それに伴い、本ブログでもオリンピックイヤーに合わせてスポーツに関する様々なネタをご紹介しようと考えております。

そして、その記念すべき第一弾としてスイスで生まれた五輪競技についてのお話をさせていただきますが、皆様はスイス生まれの五輪競技と言えばどのようなものがあるかご存知ですか?

スイスは雪国であるが故に、夏よりも冬のスポーツが盛んであるため、今回ご紹介するスポーツも当然ながら冬季オリンピックの競技になります。

名前からして「アルペンスキー」がスイス発祥の競技と思われがちですが、実を言うとアルペンスキーは北欧で生まれたとされており、残念ながらスイスを起源としていません。

一方、スイスのイメージがさほどないものの、歴史を辿ればそのルーツがスイスにあるのがなんと「スライディング競技」なのです。

したがって、今回はそんなスイス発祥のスライディング競技についてご説明いたします。

 

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スイスの知られざる衛星国時代

 

 スイスについてのイメージを聞かれると大概の人が思い浮かべるのは「永世中立国」ではないでしょうか?

これは教科書や観光ガイドを始め、スイスを採り上げる様々な媒体に加え、メディアで必ずと言っていいほど登場する単語であるだけでなく、スイス連邦が自ら世界に発信してきた代名詞であることから無理もありません。

また、永世中立国に付随して「反戦主義」や「紛争に一切関与しない」など色々な連想が独り歩きしたこともあって、スイスは「戦争をしたことがない国」とも称されています。

実際のところ、スイスはハプスブルク家からの独立を目指して幾度となく衝突を繰り返した他、長きにわたって各国に傭兵を派遣してヨーロッパの歴史に深く関わっていたものの、自国の国旗を掲げて他国と争ったことは一度もございません。

そんな喧嘩知らずで、どこかカッコよくも聞こえるスイスですが、実は過去に他国からの侵略を受け、国ごと乗っ取られた経験を持っていることをご存知でしたか?

この事実は世界史で語られるほど重大な出来事ではないため、スイスにそんな過去があったことを知らない方も多いと思います。

したがって、今回はスイスの意外と知られていない他国の統治下に置かれた衛星国時代についてご説明いたします。

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スイスが世界に誇る航空救助隊「レガ」

 

皆様は目の前でいきなり交通事故が起きたり周りの人が突然倒れたりしたら、当然119番通報をして真っ先に救急車を呼びますよね?

もちろん、国や地域によって緊急通報用電話番号が異なりますが、この手順は場所を問わず世界共通であることから、例え旅先であっても取るべき行動は変わりません。

そのため、緊急時に一刻も早い救急車の要請を行うためには、それぞれの場所で使用されている緊急通報用の連絡先を事前に把握しておくことが極めて重要です。

スイスでは救急車が必要な際の連絡先が144番ですので、これからスイスを訪れる予定のある方は必ずこの3桁のナンバーを覚えて現地に行くようにしてください。

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スイスで最も美しいと謳われるグラールス

 

観光客の中には、見物できるスポットの豊富さや利便性の観点から都会を旅行先に選んで、いわゆる都市観光を楽しむ方が多いと思いますが、自然溢れる地方も見所満載であることを忘れてはいけません。

特にスイスにご興味のある皆様からしてみれば、むしろ日本にない魅力を感じられる後者の方が好ましいのではないでしょうか?

そのせいか、大半の人は氷河特急(Glacier Express)マッターホルン(Matterhorn)を求めてスイスを訪れます。

しかし、それはどちらかというと観光庁が外国人に対して「見せたいスイス」であって、国民にとってはあまり馴染みのないものですので、逆に庶民的で日常的な本来のスイスに触れたいと感じる観光客には不向きです。

とはいえ、ガイドブックなどでは観光地化されていないありのままのスイスを体験できる場所は殆ど掲載されないことから、情報の入手が容易ではありません。

そこで、今回はそのような悩みを解消するため、「素」のスイスを堪能したい方にうってつけの場所と言えるグラールス州(Kanton Glarus)とその州都であるグラールス市をご紹介させていただきます。

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スイスドイツ語講座その12:食べ物(前編)

 

過去に、ビールを注文する際にスイスとドイツで言い方が異なることに言及しましたが、これまでのスイスドイツ語講座をご愛読なさっている方であれば、飲み物にだけでなく、様々な分野において同様なケースが存在することにお気付きになっているかと思います。

もちろん、相手との意思疎通が可能であれば、細かい違いに困ることは基本的になく、自分が求めたものと全く別の品が出てくるのは非常に稀です。

しかし、スーパーなどでは必ずしも言葉が通じる相手がいるとは限らず、パッケージの記載や標識等のみを頼りにするしかありません。

つまり、コミュニケーションがそもそもできない場面では、結局、自分が欲しいものを諦めてしまうか、内容を把握していないまま直観に基づいて選択を行うことになります。

そのような出来事で未知との遭遇を体験するのも海外旅行の楽しみのひとつであるとの考え方がありますが、分からないものには一切手を出さないという慎重派であれば、時と場合によっては行動しにくくなってしまいます。

特に食事は取らない訳にはいきませんので、一定の知識を身に付けておいた方が断然得です。

したがって、今回はスイスでの腹ごしらえに困らないためにも、スイスドイツ語における食べ物の言い回しについて色々とご紹介させていただきます。

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スイスが「世界一の時計王国」と呼ばれる理由

 

今まで何度かにわたってスイスの名物をご紹介させていただきましたが、振り返ればその殆どが食料品だったような気がします。

スイスは元々農業国家ですので、食べ物が豊富なのは不思議ではありませんが、食料品以外にもスイスを代表する様々な特産品があるのは言うまでもありません。

中でも、とあるものは世界のどこへ行っても必ず目撃し、皆様の身の回りにも高確率でそれを所有している人が存在すると断言できるほど有名です。

むしろ、多くの方々にとってはその商品が日常において当たり前にあるもののように感じているせいか、スイスの製品というイメージが沸かないことも少なくありませんので、逆にそれがスイスの特産品だと伝えた瞬間に「言われてみればそうだよね!」みたいな反応をします。

ここまで言えばさすがに読者の皆様も何を指しているかもうお分かりなのではないでしょうか?そうです。答えは他でもない「時計」です!

という訳で、今回はスイス銀行とスイスチャードに並んで国名が商品の一部になっているほど代表的なスイス時計についていろいろとお話させていただきたいと思います。

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スイスの祝日事情

 

日本では、昨年は土曜日と日曜日に当たらない祝日が計15日だったのに対し、2023年は13日であることを残念がっている人も少なくありませんでした。

1年と言う長いスパンで見ると365日中の1日や2日は大したことないように感じますが、世界的に働き者と認識されている日本人にとっては休みが1日増えるか減るかは意外と重要みたいです。

とはいえ、そもそも日本が他の国と比べて祝日が多いことをご存知でしたか?

しかも、日曜日と重なった祝日を補う振替休日という制度まで存在し、一部の国や地域からしてみれば日本は祝日に関してとても恵まれている国と言えます。

もちろん、比較対象がなければ自分が置かれている状況を把握するのはなかなか難しいですし、一生関わることのない他国の祝日事情を知る機会も殆どないことから、自身が如何に得しているかを自覚できないのは無理もありません。

そこで、今回は日本の皆様が祝日に関して意外と幸運であることを再認識してもらうためにスイスの祝日事情についてご紹介いたします。

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言語圏の境目に建つ都市フリブール

 

過去の記事でも申し上げたことがあるので既にご存知だと思いますが、スイスにはそれぞれの言語圏を有する4つの公用語があります。

そのため、本ブログでは特定の言語圏をえこひいきせず、なるべく全ての言語圏を採り上げるようにしています。

特に名所に関してはドイツ語圏だけでなく、フランス語圏やイタリア語圏の都市もご紹介していますし、他の記事においてもそういったバランスを考慮し、可能な限り4つの言語圏に言及してきました。

しかし、言語とはそれを話す人間によって形を変え、空間的にも移動することから、言語圏もまた一定不変なものではありません。

現にスイスでは言語圏が時間の経過とともに複雑に入り乱れて、今となってはそれらの境界線がはっきりしない地域が多々あります。

しかも、その中にはなんとひとつの市町村で2つの異なる言語を使用するという、日本人からしてみればおそらく想像もできない珍しいケースまで存在します。

したがって、今回はそんな言語圏の境目に建っている代表例としてフリブール州(Canton de FribourgまたはKanton Freiburg)の州都フリブールをご紹介させていただきます。

 

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アルプスの少女ハイジも愛したラクレット

 

スイス人として日本で生活しているとあの人気アニメ「アルプスの少女ハイジ」を話題にされることが非常に多く、中でもアルムおんじが暖炉でチーズを溶かしてハイジに「ラクレット」(Raclette)を振る舞うシーンには大半の方が衝撃を受けたと度々お聞きします。その影響もあって、「私もラクレットを食べてみたい」と思っただけでなく、わざわざスイスを訪れてその目標を達成された人までいるそうです。

とはいえ、近頃は日本国内でラクレットを提供するお店が増えていることもあって、遠く離れた現地に足を運ばなくてもハイジと同じ体験ができるようになっています。

しかし、「ラクレット」の名前が付いているからといってそれが必ずしも本場スイスのラクレットと同じ料理であるとは限りません

というのも、私自身も日本で何度かラクレットをいただいたことがありますが、アレンジレシピなどオリジナルとは少し違うものが出てきたケースが多かったので、少し残念な気持ちになったのが正直なところです。

また、ラクレットは誰でも容易に作れるチーズ料理と思われがちですが、食材、調理法、食べ方などが形式化された独自の食文化が存在するため、それらをある程度遵守しないとラクレットではなく、ただの焼きチーズになってしまいます。

そこで、スイス人としては日本の皆様にせめて正統派を知った上でアレンジバージョンを楽しんでいただきたいと強く思っておりますので、今回はアルプスの少女ハイジも愛したラクレットについて色々とお話しさせていただきます。

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