ドイツの卓球事情 

卓球といえば何をイメージしますか?世界で活躍中の日本人選手たち?温泉宿で浴衣で楽しむ娯楽?学校の部活動としては、野球やサッカーと比べたらちょっとだけ地味な印象があるかもしれませんね。一方、ドイツで卓球というと、サッカーと共に、より一般市民に身近なスポーツのひとつです。また、ドイツは世界レベルのプロプレイヤーを多く抱えているヨーロッパの強豪国でもあります。今回はドイツの卓球事情についてお伝えします。

ドイツの卓球人口は?プロリーグも盛ん

 

諸説ありますが、卓球というスポーツの起源は、テニスの原型とされる「ジュ・ド・ポーム」という素手でボールを打ち合うスポーツをもとに、19世紀末にイギリスで考案されたと言われており、1885年には特許申請もされていることがわかっています。日本には、1902年に坪井玄道によってイギリスから持ち込まれました。ドイツで卓球連盟(Deutscher Tischtennis Bund)が発足したのは1925年、同年にはベルリンで、ドイツ初の卓球選手権個人戦が男女別で開催され、翌年には国際卓球連盟も発足し、スポーツとしての卓球は、ヨーロッパ全体で急速に拡がりをみせました。

今日、ドイツの卓球人口はおよそ70万人ともいわれていますが、この点では、日本の方が多く、愛好者なども含めると約120万人とされています。しかし、卓球協会への登録者数でみると、第一位中国、第二位ロシアに次いで、ドイツは世界第三位の約67万人とされています。そして日本は、第五位の約30万人です。

ドイツで卓球が盛んな理由のひとつには、ドイツ・オーストリアで開催されている卓球のプロリーグ「卓球ブンデスリーガ」(Tischtennis-Bundesliga)の存在も大きいようです。1960年に開始されており、1997年には初の日本人選手として、松下浩二氏が1部リーグの名門ボルシア・デュッセルドルフへと入団を果たし、またチームを優勝にも導きました。彼の功績を受け、2000年代からは、日本人選手が卓球王国・中国のみならず、ドイツを鍛錬の場とする道も開け、水谷隼選手や、岸川聖也選手なども、若手育成のための強化選手としてドイツ留学を果たし、ドイツのリーグでプレイしていました。

野外の卓球台-コロナ禍のトレンドスポーツ

 

卓球強豪国のドイツですが、市民にとっても身近なスポーツであることは、ドイツの公園をぶらつくだけで実感できます。というのも、ドイツでは、卓球台が設置されている公園がよくあるのです。それどころか、ドイツの公園にある定番の遊具といえば卓球台と云われるほどです。卓球といえば、体育館などでする屋内スポーツと思われがちですが、ドイツ人の日常生活においては、野外で気軽に営む屋外スポーツでもあるようです。しかし、通常、屋内で使用されているような木製の卓球台ではなく、台もネットもコンクリート製のものです。(写真参照)

また、コロナ禍による長いロックダウンの続くドイツでは、野外での卓球がトレンドとなっているようです。ラケットとボールさえあれば、公園に赴くだけというシンプルさが人気の理由のようです。そしてプレイ中はソーシャルディスタンスも守られ、運動不足も解消。真冬でも、十分な運動量なので、動いていれば寒さを感じない―などなど、コロナに対するパーフェクト・スポーツとも伝えられています。

プロスポーツの世界のみならず、ドイツ人の日常生活にも溶け込んでいる卓球。ドイツ人とひとつ手合わせしてみるのも一興かもしれませんね。


参考HP

 

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