ジャーマン・ジョーク 笑える?笑えない?
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お国ごとに笑いのツボが違う―そんな風に思ったことはありませんか?アメリカ的おバカジョーク、イギリスの皮肉っぽい笑い、フランスのブラックジョーク。ではドイツのジョークとは?ドイツ人は頭が固くてユーモアがない…などというステレオタイプもあるようですが、今日はそんなドイツの短いジョークをいくつかご紹介します。
まずはタイタニックジョークともいわれるエスニックジョークで有名なジョークをご紹介します。
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沈没しかけの船に乗っている様々な国の人々を、海に飛び込ませて避難させなければいけません。船長はなんと呼びかけるでしょうか?
アメリカ人に対して「飛び込めばヒーローになれます。」
イギリス人に対して「飛び込めば紳士になれます。」
イタリア人に対して「先ほど物凄い美人が飛び込みました。」
フランス人に対して「飛び込まないでください。」
ロシア人に対して「海にウォッカの瓶が流れています。」
ドイツ人に対して「飛び込むのはルールです。」
日本人に対して「皆さん飛び込んでいます。」
―このジョークはドイツ産ではありませんが、それぞれの国民性のステレオタイプを簡潔に表現している面白いジョークですよね。
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「カトリックの司祭とはどんな人?」
「だれからも『神父さん(ドイツ語ではVaterといい、父と神父の両方の意味を持つ)』と呼ばれてもかまわないが、実子からは絶対『父さん(同じくVater)』と呼ばれてはいけない人。
―いわゆるダブルミーニングによるジョークですね。カトリックの神父は結婚を禁止されています。戒律の厳しいカトリックへの皮肉も入り混じり、キリスト教圏ならではのジョークでもありますね。
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「アデナウアーと職人との違いはなあに?」
「職人はなかなか来てくれないのに対し、アデナウアーはなかなか出て行ってくれないこと」
―戦後ドイツ、CDU(キリスト教民主同盟)の初代党首も務めたコンラート・アデナウアーは、14年に渡って西ドイツ初代首相を務めたことへの皮肉めいたジョークは数多くあるようです。
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「神は死んだ。-ニーチェ」と、だれかがベルリン動物園駅の壁にスプレーで記した。「ニーチェは死んだ。-神」と、別のだれかがその下に記した。
―哲学者ニーチェの名言をジョークのネタに変えた挙句、哲学的なニュアンスも残すのはドイツ的ですね。
数あるジャーマン・ジョークのほんの一握り、短くて、ドイツ的で、日本人にも理解できそうなものを選んでご紹介しましたが、面白いか面白くないか…この答は個々人のご判断におまかせしましょう。
ドイツのジョークで特徴的なのは、政治ネタが多いことでしょうか。ナチスやヒトラーに関するジョークも多くあります。また、ドイツ人の生真面目さ、几帳面と言われる国民性を自嘲的に扱うジョークも多いようです。日本だと政治ネタは少々敬遠されがちですよね。
しかし、外国語のジョークに対し、説明なしに笑えて、ウィットに富んだ返答までもできれば、その文化をかなり深く理解しているといえるかもしれません。
参考HP
参考文献
- ディーター・トーマ/ミヒャエル・レンツ/クリス・ハウランド編 ドイツ人のバカ笑い 西川賢一訳 集英社新書 2004
これまで【日本人からみると不思議なドイツ事情】、【ものづくりの国ドイツ】を担当してまいりました、HHです。京都生まれ。ドイツ・フライブルク大学卒。留学中に得た経験をもとに、独自のアンテナを張って様々な側面からみたドイツをお伝えしていきたいと思います!皆さまのドイツ文化に関する興味・関心、ブログの感想もぜひ聞かせて下さいね。
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