ドイツのお葬式に初めて参列

 

ドイツに住み始めて20年近くなる私ですが、これまでドイツでのお葬式に参列したことがありませんでした。

しかし癌を患っていた義理の兄が先日亡くなり、初めてドイツのお葬式に参列してきました。

義理兄とのお別れは悲しかったのですが、とても印象に残るお葬式だったので、自分が忘れないようにするためにもブログで書いておきたいと思います。

 

日本のお葬式との違い

 

日本では亡くなられてから葬儀までの日数は、平均で4日から5日ほどですが、ミュンヘンで行われた義理兄のお葬式は、彼が亡くなってからなんと18日後に行われました。

地域によって異なるようですが、彼が住んでいたバイエルン州ではお葬式は週末ではなく、平日に行われることが多いのだそう。

義理兄のお葬式は平日の午前中という時間帯だったにもかかわらず、親族や旧友たちが仕事や学校を休んで大勢お葬式に来ていたことにも驚きました。

ドイツのお葬式に参列する場合、日本のように喪服を着るというルールはなく、基本的に黒を基調とした服装であれば大丈夫のようで、黒いジーンズや、スニーカー(!)といったカジュアルな恰好の参列者もちらほら。

またお香典を必ず用意する習慣や、欠席の場合に弔電を送る習慣はないようで、葬儀前の案内状には「生花のリースを贈ってもらうか、あるいは医療団体へ寄付してくれたら嬉しい」と故人の希望が明記されていました。

遠方に住んでいて葬儀に出席できない場合は、故人が指定した非営利団体等に寄付をすることもドイツでは一般的なようです。

 

 

オリジナリティ溢れるお葬式

 

義理兄は癌で余命宣告を受けてから、わずか2カ月という短い期間で亡くなってしまいました。

しかし、彼は残された僅かな時間の中で、癌と闘いながらも死ぬまでにやれることをできる限りやったと思います。

義理兄は生まれも育ちも生粋のバイエルン人。

バイエルン人のお友達がいる方は、生粋のバイエルン人の誇り高さをご存じでしょう。

義理兄のお葬式会場となった教会内の飾り付けは、本人の希望でバイエルン州旗の「青と白」カラーで統一され、また遺影は、オクトーバーフェストの正装であるTrachtenhemdを着た義理兄が笑顔で写っているという写真でした(笑)。

ホント、最後まで生粋のバイエルン人であることが幸せだったんですね~。

 

 

お葬式の流れとしては、まず墓地にある小さな教会の中で神父さんによるミサが執り行われました。

ミサが始まる前にチャップリンの映画「モダン・タイムス」のテーマソング「スマイル」(マイケル・ジャクソンもカバーしている)が流れてきて、お葬式らしからぬ音楽に驚きました。

実は、義理兄が亡くなる前に「涙のお葬式は嫌だ」という本人の希望で、流したい曲を自分であらかじめ選曲していたそうです。

神父さんが義理兄がどのような人生を歩んできたのか、どんな人物であったのかを話してくれるお話の合間に義理兄が選曲した歌が流れてきたのですが、参列者に前向きな気持ちを与えてくれる曲ばかり。

讃歌をみんなで歌うのでは?と思っていた私の予想は見事に外れました。

また義理兄の子供たちが弔辞を述べたのですが、悲しみにうちひしがれた言葉というよりは、「世界一最高のパパだった」、「パパから教えてもらったユーモアあふれる教訓」などなど、時には皮肉も交えて、愛情溢れるお別れの言葉ばかりが続きました。

「悲しい弔辞は嫌だからね」と前もって子供たちにリクエストしておいたのでしょう。

わずか数か月以内という余命宣告を突然受けて、落ち込んで一番混乱したのは自分自身であっただろうに、最期の片付けに手早く取り掛かり、自分のお葬式までセルフプロデュースすることは、誰もができることではありません。

 

ミサ終了後、遺体が納められた柩が墓地へと運ばれ、教会の鐘が鳴り響くなか、柩の後ろを皆が列を成して歩いていきました。

柩を土の中に埋葬する前に、神父さんが聖書の言葉を読み上げ、参列者も一緒に故人の冥福を祈りました。

その後一人ずつ、柩に聖水を振りかけ、花を添えて、最後のお別れの言葉を故人に告げて終了しました。

初めて参列したドイツでのお葬式でしたが、悲壮感が漂うというよりも、「みんな、これからも前向きに元気でやっていけよ、Servus!という義理兄のメッセージを受け取ることができ、まさかお葬式で逆に自分が励まされる気持ちになるとは思ってもみませんでした。

本当にありがとう!

 

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