会長のドイツ出張ブログ ⑤
デュッセルドルフで遭遇した遍歴職人Wandergeselle!

Guten Tag !

トランスユーロ会長の加藤です。

 

出張の後半、私は多くの日本企業が拠点を置くデュッセルドルフを訪れました。

ちょうど週末を挟んでの滞在となったので、土日はデュッセルドルフの街に繰り出しました。そこで偶然遭遇したのは、アッと驚くあの人、Wandergeselleです!

そうです、なんとあの「遍歴職人」に遭遇しました!!

 

会長のドイツ出張ブログ①』でご紹介したように私にとってはミュンヘンのお土産屋でのUさんとの出会いも衝撃的でしたが、今回はそれとはまた一味違った遍歴職人との出会いをご紹介します。

 

デュッセルドルフ中央駅のホーム

 

コブレンツの劇場で楽屋口から入場しようとするドジをやらかした私は、翌日コブレンツを後にし、ライン川沿いに北上してデュッセルドルフへやって来ました。デュッセルドルフは日本と大変縁の深いことで有名ですね。インマーマン通りには多くの日本関連のお店が建ち並んでいます。

 

リトル東京として有名なImmermannstraße(いつも男性通り?)

 

ペンパルAとの30年振りの再会!

 

会長のドイツ出張ブログ①』で書いたように、私は大学5年生の時に本格的にドイツ語学習をスタートさせましたが、そのときにドイツに二人のペンパルを得ました。そのうちの一人ペンパルMとはブログ①で書いたように今は音信不通となっていますが、もう一人のペンパルAとはいまだに交流があります。

 

さすがに今はBriefwechsel(文通)はしていませんが、年に数回ほどメールでやり取りしています。ペンパルAはとても明るくオープンな性格で、そしてちょっぴり毒舌を吐くロックな女性です。私とは何故かとても気が合います。

 

ペンパルAは、現在Bielefeldの南に位置するStukenbrockという小さな町(Safarilandがあります)に住んでいて、私がドイツに滞在していることを知ると、週末を利用して2時間かけてデュッセルドルフまで会いに来てくれました。およそ30年振りの再会劇となりましたが、再会を前にして若干nervös気味の私の前に颯爽と現れたペンパルAの第一声は「Oh Gott ! あなたまだ髪の毛あるじゃない!」でした(笑)。相変わらずのロックネキのキャラは変わっていないようでホッとしました。

 

ペンパルAもほとんど当時のままの容姿をキープしていたので、二人でお互いをめちゃ褒めちぎり合って盛り上がりました。もちろん、二人ともちょっぴり皺が増えていたり、ちょっぴり近くの物が見えづらくなったりしていますが、基本的にはお互い「相変わらずCoolじゃん!」という見解で一致しました(笑)。

 

こうしてペンパルAとは一瞬にして若かりし頃の感覚に戻り、お互い積もる話や家族の近況などを語り合って、あっと言う間に30年の空白を埋めることができました。私とペンパルAとは偶然同じ頃に結婚し、そして4人で合同新婚旅行を実行した仲ですが、ペンパルAはその後色々あって数年前に新しいパートナーを得ました。苦しい時期も楽しい時期も持ち前のロックな性格で乗り越えてきました。

 

若い頃に興味半分で得たペンパルですが、こうして年齢を重ねると今更ながらその存在の大切さや有り難さに気づかされました。このようなペンパルを持った自分はとても幸せだと感じました。

Martin-Luther-Platzにある1932年創業のチョコレートが美味しいHeinemann

 

デュッセルドルフ街中に巨大パンダ出現!

 

さて、遍歴職人に遭遇したのは、そんなペンパルAと一緒にデュッセルドルフの街中に繰り出したときのことで、最初に遍歴職人を見つけたのはペンパルAでした。二人でショッピング街の歩道を歩いていると、何故か目の前に巨大パンダが出現しました。なんでデュッセルドルフにパンダ?とキョトンとする私を尻目に、パンダ好きのペンパルAは歓声を上げてパンダに駆け寄りました。巨大パンダに抱きついた後、隣のミニパンダにチップを進呈して戻ってきたペンパルAですが、するとなぜか突如私の背後を凝視して再び感嘆の声「Gott !」を上げました。

 

突如出現した巨大パンダに駆け寄るペンパルA

 

なんだ?? と思ってペンパルAの視線を辿ると、その先には独特の中世風の服装に身を包んだ男性が杖を片手に立っています。おおっ、これはどこかで見た覚えのある格好です。あっそうだ、JOJOさんのブログの写真で見たWandergeselleではないですか!!

 

Wandergeselleって何?

 

皆さんは、Wandergeselleってご存知でしたか?

私は、『会長のドイツ出張ブログ④』に登場したコブレンツ在住のJOJOさんが以前書いたブログ記事『Wandergeselle 遍歴職人』で初めて知りました。日本では「遍歴職人」と呼ばれているようですね。

 

ドイツには中世を起源とする職業訓練制度があるのですが、これにはGeselle(職人)とMeister(マイスター)という二段階の国家資格があります。中でも遍歴職人は、中世以来の職人文化を継いでいる制度で、これはGeselleの資格を持った職人が色々な都市を巡って様々なMeisterの元で働きながら技術を磨いていく「Walz」と呼ばれる遍歴修行の一環で、以前はMeisterになるための必須の修行であったそうです。

 

現在は必須ではないのでこの修行に出るGeselle(職人)は少なくなってしまい、現在活動中のWandergeselleは700名ほどだそうです。ですのでドイツで暮らしていても滅多に出会えない存在だそうですので、デュッセルドルフの街中で偶然遭遇した私はかなり幸運であったと云えます。人波の中でWandergeselleを見つけたペンパルAや、きっかけを作ってくれたパンダには感謝しないといけないですね。

 

でもWandergeselleは、すぐにそれとわかるKluftという伝統的な制服を着用しているので、街中でも見つけるのはそう難しくないかもしれません。

 

デュッセルドルフで遭遇したWandergeselleのMさん

 

今回出会ったWandergeselleは身長が高く、ガッチリした体格の26歳のMさんでした。Mさんは石工職人(gelernter Steinmetz)だそうです。とてもフレンドリーな人で、ウワァーと駆け寄ってきた私たちを笑顔で迎えてくれ、記念写真にも気軽に応じてくれました。

 

WandergesellのMさん

 

Mさんは2年前から遍歴修行を続けていて、ドイツ国内だけでなくスカンジナビア半島の国々でも修行をしたそうです。移動にお金を使うことは禁止なので原則徒歩かAnhalter(ヒッチハイク)となりますが、ただし飛行機の移動は許されているそうです。また、自身の地元から50km圏内に近づいてはいけないそうです。

 

さらに、30歳未満で未婚・子供がいないこと、借金がないことなども条件で、Handy(ケイタイ)の所持も許されません。現代の若者がケイタイなしに旅しているなんて驚きです。遍歴職人のWalzは、このような様々な厳格条件のもとに世界中を回って技術を身につけていく過酷な修行と云えます。こうした制度がドイツのものづくりの伝統文化をしっかりと支えてきたのでしょう。

 

今回、まさかドイツ滞在中にWandergeselleに出会えるなんて夢にも思わなかったので、この出会いにはとても感激しました。

しかもそれがペンパルAとの30年振りの再会と重なったので、私にとっては忘れがたい貴重な思い出となりました。

 

Mさんが無事に遍歴職人の修行を成し遂げ、立派なMeisterになることを祈っています☆☆☆☆☆

 

そして、30年振りに再会したペンパルAとは、最後にお互いに「Ich bin stolz auf dich !」(あなたを誇りに思うよー)と言い合って、まるでしょっちゅう会っている友達のように別れました。いつかきっとまた再会できることを願って☆☆☆☆☆

 

すべての出会いに感謝!

さて、会長のドイツ出張ブログシリーズは今回をもって最終回となります(多分)。

これまでご愛読いただきありがとうございました。

今回の出張ではブログ①~⑤でご紹介した他にも、訪問先の特許事務所や団体、大学などで様々なロックな出会いがありました。

出会った全ての方々にこの場を借りて感謝申し上げます。

またどこかへ出張した際に思わぬ出会いや事件があれば執筆しますね。

そのときまで暫しの別れ!

 

Tschüß !

 


参考ホームページ

■Wandergeselle(遍歴職人)とは:Wandergeselle 遍歴職人 – トランスユーロアカデミー (trans-euro.jp)

■ドイツの職人の「就活」を探る:27_report_omoro2019.pdf (kyoto-u.ac.jp)

■ドイツの遍歴職人さんを訪ねて:ドイツの遍歴職人さんを訪ねて|tomoko_morimoto (note.com)

 

Comments

(1 Comment)

  • 匿名

    Wandergeselleは都市伝説だと思っていたので、それを20年振りに再開したペンパルAさんと経験できたって、本当に加藤さんは持っていると思います!
    今回も色々な出会いがあった出張になりましたね。終わってしまうと少し寂しい気もします。また今後もロックな出張を楽しみにしています!

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