ドイツの学校 – 企業実習が必須
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私にはドイツのギムナジウムに通う二人の子供がいます。
ギムナジウムと言っても、日本の中学、高校生に比べると、授業は13時まで、お昼ご飯は家で食べるし、塾通いもない。
「こんなにのんびりしていて大丈夫だろうか?」と思う時もよくあります。
そんな中で、ドイツの学校で私が「これはいい!」と思ったことがあります。
それは、9年生(日本で言えば中学3年生)になると学校の教育プログラムの一環として、企業実習が必須であることです。
履歴書の書き方を「ドイツ語」の授業で習う
9年生と言えば、平均15歳です。
「職業選択」は、もうそんなに遠い未来ではなく、そろそろ現実味を帯びてくる頃。
でも世の中には本当に様々な職業があって、何が自分に合っているのかよく分からないですよね。
自分が何に向いているのか、また興味のある仕事分野を試す機会として、学校の教育プログラムに企業実習が組み込まれているんです。
実習期間は2週間~3週間程度。
その間は学校に行く必要はなく、希望する企業や組織で社会経験を積みます。
あくまで「経験を積むこと」が目的であり、15歳が専門的な業務を行うことはないので、基本的に無償労働となります。
私の長男も9年生になるとすぐに学校の課外授業で、日本のハローワークのような職業斡旋センターにクラスの皆で行き、そこで様々な職種についてリサーチしたり、適職診断などを受けてきました。
さらに、学校の「ドイツ語」の授業で「履歴書」の書き方を学んできました。
つまり、日本の中学3年生が国語の授業で履歴書の書き方を教わってくるようなものです。
履歴書は様々なルールがあるので、作成の基本ルールや、自己紹介、学歴、自分の興味のある分野、志望動機など、自分の魅力が伝わる書き方のほか、面接の基本態度なども学びます。
これがドイツ語の授業の一環なので、ドイツ語の定期試験では勿論、「履歴書の書き方」が出題され、「ドイツ語」の成績に反映されるんですよ。
実習先は自分で探す
さて、履歴書の書き方は学校で習ったので、あとは実習先を探すのみ。
「実習先は学校が斡旋してくれるのかな?」と思ったら、そんなことはありません。
9年生の生徒たちは自分で、興味のある会社や組織に履歴書を送らないといけません。
ただ会社側も、9年生の実習の受け入れに慣れていることが多く、また報酬を支払う義務もないため、好意的に受け入れてくれるケースがほとんどです。
ドイツでは15歳未満の青年はJugendarbeitsschutzgesetz(年少者に対する労働保護法)で労働時間は一日最大2時間までと決められていますが、9年生の企業実習は学校教育の一環として例外が適用され、15歳未満の生徒は一日7時間まで、15歳以上の生徒は一日8時間まで働いてよいことになっています。
実習先は、家具屋だったり、ホテルだったり、動物病院だったりと本当に様々です。
私の長男は、医薬品に興味があったようで、彼が実習先に選んだのは大きな薬局でした。
2週間の間、朝9時から夕方の16時まで(お昼休憩が1時間)、仕分け作業や薬の配達などの雑用ばかりこなし、家に帰宅すると「今日も働いた~。疲れた!学校に行ってる方がずっと楽だよ!」とこぼしていましたが、何度か薬剤師さんと一緒に医薬品の調合をさせてもらったのが良い経験になったようです。
15歳が貴重な社会人生活を経験できる企業実習は、とても良いシステムだと思いませんか?
参考ウェブサイト
https://www.kindersache.de/bereiche/wissen/lernen/schuelerpraktikum-alles-was-du-wissen-musst
大阪育ちの日本人。ベルリン自由大学卒業。現在ドイツ・コブレンツ在住。趣味は山登り、テニス、アスリート飯作り。担当する新シリーズ「住んでみてわかったドイツ」では、ドイツ居住歴16年の経験を生かして、現地からの生情報をお伝えしたいと思います。皆様からのリクエストや感想もお待ちしてます!
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