ドイツのグルメ事情

 

2024年3月末、ハンブルクで2024年のミシュラン星付きレストラン(ドイツ国内版)が発表されました。

今年はドイツ国内の340店舗のレストランがミシュラン星付きレストランとなり、ドイツで過去最高の記録を更新しました。

 

ご存じの通り、ミシュランガイドとは、ミシュラン社のインスペクターが世界中のレストランの食事を世界同一の基準で評価し、ユーザーに紹介するキュレーションプラットフォームです。

知らない国や土地のレストランやホテルを探す場合に、信頼度の高い情報が提供されているので、とても参考になりますね。

 

ドイツのグルメ事情

 

「ドイツのグルメ業界も年々頑張っているんだなあ。」というのが私の正直な感想です。

ちなみにミシュランガイド東京2024によると、今年は東京の飲食店・レストランで三つ星を獲得したのは12軒、二つ星は33軒、一つ星は138軒で、星付きの飲食店は合計183軒です。

これって東京都だけを対象にした数なので、すごいですよね!

ドイツに住んでいる私にとって、日本のグルメレベルの高さには本当に驚かされます。

ドイツのミシュラン星付きレストランは、ベルリン、ミュンヘン、シュトゥットガルトなどの大都市に集中しているようですが、私が15年前にベルリンに住んでいた頃は、グルメレストランなんて大変珍しい存在だったものです。

 

 

ドイツで美味しいものを食べたければ、「フランス、イタリア、スペインなどの美食の国に旅行に行くべし。」あるいは「自分の家で自分で作って食べるべし。」というのが周りの日本人同士の暗黙の了解だったものです。

 

伝統的にドイツの夕食(Kaltes Essen「冷たい食事」)は質素に軽く済ませる場合が多く、お昼ご飯だけ温かい食事を作っていただくのが一般的です。

ちなみにドイツ元首相のアンゲラ・メルケルの好きな料理は「チリメンキャベツの煮込み」だそうで、さらに彼女の前のシュレーダー元首相は「Currywurst(カレーソーセージ)が好物」と明言しています。

フランスの大統領なら、絶対もっと洗練された料理を言うはず!!

ドイツには食通の文化が育っていないなあとつくづく実感します。

サッカーのチャンピオンズリーグの観戦チケットには数百ユーロも出せるのに、星付きレストランで一人200ユーロ以上ものコースを注文するのは躊躇してしまう、それがドイツ人なのです。

 

 

ドイツ伝統料理が見直されている

 

ドイツのミシュラン星付きレストランで提供される料理は、フランスのオートキュイジーヌの影響を大きく受けていたり、日本料理にインスピレーションを受けたものであったり、現在世界中で流行っているトレンドの流れを汲んだものがほとんどのようで、ドイツ料理だけを前面に出しているレストランはかなり稀です。

というのも、星付きレストランでドイツ料理だけをメニューとして提供するとなると、料理人にとって料理の可能性や創造性が大きく制限されるそうなのです。

確かにアイスバイン(ベルリン地方の名物料理)やグリューネゾーセ(フランクフルト名物の緑のソース)といったドイツ伝統料理が、洗練された料理として三つ星レストランで出されることを想像するのは、かなり難しいかも。

同じドイツ語圏の隣国オーストリアで食べる食事は美味しいのに、なぜこんなにドイツ料理はダサいのか。

その一つの理由として、1970年代のドイツの高級レストランでは、お隣のフランス料理を手本とし、その流れが何十年も続いてきたことが挙げられます。

フランス料理がもてはやされてきた数十年の間に、自国のドイツ料理は日の当たらない場所に追いやられ、注目されず、美食家に相手にされなかった。

しかし実際のところ、ドイツにも美味しい食材は沢山あるんですよ。

有機栽培の野菜農家、チーズ工房、ドイツのパン屋、魚の燻製屋、何代も続くワイン農家などから、質の高い地元の食材を買い求めることはできます。

最近は、こういった優れた地元の食材を使いながら、ドイツ料理の可能性を見直そうとする新たな動きが増えてきているようです。

ドイツ料理人に必要なのは、自国の料理に対する「勇気」なんだとか。

今後、美味しい地元の食材を使ったドイツ料理を提供する星付きレストランが増えていくことを期待したい今日この頃です。

 


参考ウェブサイト

https://guide.michelin.com/jp/ja/about-us

https://www.magazin-kueche.de/news/magazin/neuer-rekord-340-sternerestaurants-in-deutschland/

https://www.sueddeutsche.de/stil/essen-und-trinken-wie-schmeckt-deutsch-1.4015182

https://magazine.hitosara.com/

 

Comments

(0 Comments)

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA