ドイツのクリスマス料理
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12月に入ると、ドイツでは本格的にクリスマスの準備が始まります。
クリスマスは、ドイツ人にとって一年で最も大切な家族イベント。
おじいちゃん、おばあちゃん、子供や孫たち、普段は離れて暮らしている家族が集合して、久しぶりに家族水入らずで過ごす時間。まるで日本のお正月といった感じです。
そして日本でも住んでいる地域や家庭によってお正月にいただくおせち料理に違いがあるように、ドイツのクリスマス料理も地域や家庭ならではの特色があります。
地域や家庭によって風習が異なるクリスマス料理
ドイツ人に「お宅のクリスマスは毎年何を作るの?」と質問すると、「鴨肉のロースト」だったり、「毎年アヒルの丸焼きが定番」だとか、「ステーキ肉のフォンデュ」とか、肉料理がメインではありますが、様々な答えが返ってきます。
ちなみに我が家のクリスマスは、毎年ミュンヘンに住む義理両親、義理の姉家族、私たち家族が一緒に過ごします。
そして12月24日のクリスマスイブは、毎年、義理母が料理を担当することになっています(25日は義理姉が、26日は私が担当)。
ちなみに12月24日はドイツは祝日ではなく、通常の勤務日なのですが(ドイツのクリスマスの祝日は12月25日と26日)、殆どの会社ではクリスマスイブの日の仕事は正午までという取り決めがあります。
待ちに待ったクリスマス休暇が始まるクリスマスイブ。
美味しい御馳走が待っているんだろうな~!と期待したいところですが、これも家庭によって風習が異なります。
私たちの場合、12月24日の昼食は義理母の作る「具なしスープ」のみ(涙)。
具なしスープにはパンさえも添えられておらず、まるで断食道場の食事のようなのです!
当初、これには期待を裏切られましたが、義理母が言うには「クリスマスイブの夜は、年に一回しか食べられない特別な料理を食べるから、お昼ご飯は具なしスープにして、夜ご飯までに皆が空腹状態でないといけない」という伝統であること。
という訳で、私たちのクリスマスイブの昼食は「具なしスープ」で済ませ、ひもじい状態で聖夜のクリスマスディナーを待ちます。
クリスマスイブにいただくディナーも地方や家庭によって様々なバージョンがあります。
私の義理両親はシレジア地方(かつてはプロイセン領であり、第二次世界大戦後はポーランド領)出身であるため、義理母が彼女の母親から受け継いだシレジア地方の伝統的なクリスマス料理、「シレジア地方のクリスマスソース」を作ってくれます。
このシレジア地方のクリスマスソースは、根セロリ、根パセリ、パースニップ、リーキ、ニンジンなどの冬の野菜類に、ビール、ベーコンと香辛料、そしてレープクーヘンを入れてじっくりと長時間煮込む、とっても手間がかかるソースです。
ダークブラウンのソースは、様々な香辛料とレープクーヘンの風味を持つ独特の味。
このソースに、ボックヴルスト、ウィンナソーセージ、白ソーセージなど様々な種類のソーセージ、そして付け合わせのザワークラウトそして茹でジャガイモと一緒にいただくのが、私たちの聖夜のディナーです。
クリスマスにもソーセージが出てくるのは、さすがドイツ!といったところでしょうか。
クリスマスの定番料理は肉料理だけではない
ドイツのクリスマス料理といえば、肉料理といったイメージが強いかと思うのですが、実は中部ヨーロッパでは、伝統的にクリスマスイブまたは大晦日には鯉(こい)を食べる風習があります。
鯉の鱗がコインに似ていることから、食べた鯉の鱗を取っておき、これをポケットに入れて持ち歩くと、新しい年を迎える時に金銭的な幸運をもたらしてくれるという言い伝えがあるからだそう。
ドイツでもクリスマス前には、魚売り場の水槽には、普段は見ない「生きた鯉」が泳いでいて、新鮮な鯉を買うことができます。
現在はポーランド領であるシレジア地方出身の義理母の母親がまだ生きていた頃は、毎年クリスマス前に生きた鯉を市場で買ってきて、自宅の風呂桶の中で数日間泳がして泥抜きをしたうえで、クリスマス当日に調理し、クリスマスソースと一緒に食べているのが風習だったそうです。
ただ、泥抜きをしても、鯉の泥臭さが完全にはなくならず、正直美味しくなかったようで、「クリスマスソースには、鯉じゃなくて、ソーセージがいい!」という意見が家族会議で一致したため、それ以降、夫の実家ではクリスマスに鯉が出てくることはなくなりました。
ちなみに鯉の養殖と言えば、ドイツのフランケン地方やオーバープファルツ地方が有名です。
私はオーバープファルツ地方にある鯉レストランに何回か行ったことがあるのですが、そこでは生臭くなく、クセのない鯉を堪能することができました。
ドイツのクリスマス料理は、地域性やその家庭の伝統が反映されていて、とても興味深いですよ!
大阪育ちの日本人。ベルリン自由大学卒業。現在ドイツ・コブレンツ在住。趣味は山登り、テニス、アスリート飯作り。担当する新シリーズ「住んでみてわかったドイツ」では、ドイツ居住歴16年の経験を生かして、現地からの生情報をお伝えしたいと思います。皆様からのリクエストや感想もお待ちしてます!
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