ドイツ語法律翻訳(1.はじめに)

トランスユーロアカデミーでは、一般に学ぶ機会が少ない、ドイツ語の法律文書の翻訳を学ぶことができます。(4/23準備中)ドイツ語の法律文書を学ぶ方が、その取っ掛かりになるように、ドイツ語の法律翻訳について、トランスユーロの翻訳者さんに「学び方」を書いてもらいました。興味のある方は是非お読みください。

楽しいドイツ語の法律翻訳

 

論理的な文章を好まれる方は、ドイツ語の法律文書を楽しく読めると思います。社会の争いごとを、多くの人が納得できるように解決し、それを説得していこうとする文章を読むことはスリリングですし、争いごと自体「こんなことが世の中にあるんだな、知らなかった」という場合も多いです。

もちろん、「楽しい面白い」になるには法律用語と法律業界(法曹界)の約束事をそれなりに理解して、一定の程度まで蓄積しないといけないことは申し上げるまでもありません。

ドイツ語翻訳のための文法

 

ドイツ語をしっかり学んだ皆さんにとって、「法律翻訳のために」必要となる文法の知識はそれほど難しいものではありません。むしろ、きちんと文法を勉強していれば、文と文との関係がわかりやすく、先行詞を特定しやすいドイツ語の性格を考えれば、英語の法律文書を読むよりも正確な意味を把握しやすいと思います。

法律英語は、英米法が大陸法系の日本法とは法体系が違うこともあって、英米法特有の言いまわし、日常用語なのにまったく意味が異なってしまう単語が多く、「どうやったら日本語になるの?」という点で悩まされます。とくに英文の契約書などは「どこまで続く?この1文?」と嘆く場面が多いです。こうした点では、ドイツ語の法律文書のほうが、はるかに訳しやすいと言えます。

ただし、たとえば法律英語に出てくるandとorの、日本の法律文書に適した正確な訳語の選択が難しいように、ドイツ語の場合でもundとoderの訳には注意しなければならないなど、法学の知識がないと思わぬところで誤訳をしてしまいます。

日本法の知識

 

ドイツ語ネイティヴでも、法学部などで法律の勉強をしていなければ、ドイツ法の法律文書の内容を理解するのは困難です。これは、日本語をネイティヴレベルで分かっている人なら、判決書を読めば誰でも分かる、誰でも契約書や約款も意味が頭の中にすっと入ってくる、ということがほとんどありえないのと同じです。

ドイツの法律用語については、独日の(独英、独独も)『法律用語辞典』を引き、ネットで検索してみれば、対応する日本語訳が見つかります。日本の(古くからの)法律用語はドイツ語から翻訳されたものが多いので、対応関係は比較的明確だと言えるでしょう。

ただし、ドイツ語の法律用語を一対一対応で日本語のそれに置き換えることができたからといって、法的な文脈を理解できないままですと、翻訳文としては意味不明の文章になってしまいます。ですから、法律翻訳をやってみようと思う場合、ドイツ法と日本法の知識は基本的なものだけでも学習する必要があります。さらに、裁判所や法律事務所がネットで公開している法律文書などを参考にして「法律業界特有の約束事(言いまわし)」に慣れておくことも有益です。

最初はとりつきにくくても、これらは勉強していくうちに解決できる問題です。


ドイツ語の法律翻訳は、英米法を基にした英語の法律翻訳とは異なるのですね!

しかし、ドイツ語の文法が理解できれば、英語より読みやすいというのは、勉強しようと思う方には朗報です。続きの記事も近日中に公開されます。お楽しみに。

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