2022年ドイツの流行語大賞は?
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ついに2023年が始まりました。
昨年は数年続いたパンデミックが落ち着きをみせたものの、全世界を震撼させたロシアのウクライナ侵攻を発端とした不安定な世界経済、物価高、エネルギー危機、日本にとって苦難となる記録的円安など暗いニュースがさらに多くなりました。さてドイツの流行語大賞ともいえる『Wort des Jahres』、2022年はどのような言葉が選ばれたのでしょうか?
2022年の言葉はZeitenwende-時代の転換期
その年の世相を表す言葉であるWort des Jahresは日本でいうところの流行語大賞のようなもので、ドイツのドイツ語協会(Gesellschaft für deutsche Sprache)の言語学者やドイツ文学者である審査員が選出し、毎年12月に発表されています。
「2022年の言葉」に選ばれたのは『Zeitenwende』。もともと意味は2つあり、ひとつはキリスト生誕の年、つまり西暦の始まりを指しますが、「時代の転換期」という意味合いもあります。今回の選出理由は、昨年の2月に始まったウクライナ侵攻に対して、連邦首相ショルツが度々後者の意味で「この侵攻は時代の転換期となる」と述べていたことによります。
さて、その他9つの言葉も選出されており以下のようなランキングになっています。
1. Zeitenwende (時代の転換期)
2. Krieg um Frieden (平和のための戦争)
3. Gaspreisbremse (ガス価格対策措置)
4. Inflationsschmerz (インフレの痛み)
5. Klimakleber (気候接着剤)
6. Doppel-Wumms (エネルギー価格対策への二重措置)
7. neue Normalität (ニューノーマル)
8. 9-Euro-Ticket (9ユーロチケット)
9. Glühwein-WM (ホットワインW杯)
10. Waschlappentipps (手ぬぐいタオルで省エネ対策)
1位、2位はウクライナ侵攻に関する直接的な言葉ですが、関連して問題となっているエネルギー危機、インフレに関連する言葉は3位、4位、6位、10位を占めており、今年のドイツはロシアのウクライナ侵攻による甚大な影響が市民レベルで深刻なことがわかります。また、コロナ関連の言葉は7位の『neue Normalität』だけであることも特徴的かもしれません。
ウクライナ侵攻、エネルギー危機、インフレ…その他には?
5位の『Klimakleber』は直訳すると“気候接着剤”。これは、昨年ヨーロッパ各地で環境保護団体に属する活動家たちが、美術館を始めコンサートホールや公共道路などで、トマトスープやオイル、また接着剤などを使って行った過激行為を指しています。
8位の『9Euro-Ticket』は、2022年6月から8月までの3か月限定で発売されたドイツ国内乗り放題チケットのこと。上昇するガソリン代、エネルギー価格への救済措置として政府が導入し、1か月9ユーロで国内の鉄道、路面電車、バスが乗り放題(IC,EC,ICE除く)というなんとも魅力的なチケットが話題となりました。
そして9位の『Glühwein-WM』は記憶に新しい2022年のサッカーワールドカップを指しています。通常6月に開催されるW杯ですが、今大会は11月~12月の開催で、ドイツではホットワインを楽しむ季節にあたったため注目されました。
世相を表す2022年の言葉。昨年はウクライナ侵攻によって、パンデミック以上にショッキングで歴史が動いた1年となり、ドイツにおけるその影響は甚大で市民にとってもまさに死活問題となっています。2023年の今年こそはどうか少しでも世界情勢が緩和されるよう願うばかりです。
参考HP
Wort des Jahres Gesellschaft für deutsche Sprache
これまで【日本人からみると不思議なドイツ事情】、【ものづくりの国ドイツ】を担当してまいりました、HHです。京都生まれ。ドイツ・フライブルク大学卒。留学中に得た経験をもとに、独自のアンテナを張って様々な側面からみたドイツをお伝えしていきたいと思います!皆さまのドイツ文化に関する興味・関心、ブログの感想もぜひ聞かせて下さいね。
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