北ドイツの魅力 東フリースラント諸島・世界遺産のワッデン海へ
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内陸国であるドイツですが、北ドイツは北海、バルト海に面しており、南ドイツとはまた違った魅力があります。その中でも、フリースラントといわれるオランダとドイツの2カ国に跨る北海沿岸地方は、独自の文化とフリースラント語といわれる独自の言語を持ち、また、オランダからドイツを経てデンマークまで続くワッデン海は、広大な干潟で、自然保護区域に指定されており、2009年には世界遺産にも登録されました。
東フリースラント諸島とは
フリースラントは、西北東の三つの地方に区分されており、西フリースラントはオランダ、北フリースラントと東フリースラントはドイツに属しています。北海沿岸に位置するこのフリースラントは、小さな島々が鎖状に連なり諸島を成しています。東フリースラントは、7つの有人島と5つの無人島から成り、もともと西方系ゲルマン人のフリース人が居住していた地域で、7~8世紀にはフリースラント王国も存在しました。
今日では、ドイツ領である東フリースラントは、独自の文化を形成しており、コーヒー文化が根強いドイツにおいて、東フリースラントは紅茶文化が根付いています。オランダが東インド会社で大きな利益を生み出していた17世紀初頭、オランダに隣接する東フリースラントでも紅茶を簡単に入手できる環境があったため、紅茶文化が拡がりました。
無形文化遺産にも登録されている東フリースラントの紅茶文化ですが、ティータイムに欠かせないのは、氷砂糖とミルク(クリーム)。ティーカップに氷砂糖を入れてから東フリースラント・ブレンドの紅茶を注ぎ入れ、最後にミルクを左回りに入れる-という独自のお作法があります。
そしてフリースラントではフリースラント語(フリジア語)というゲルマン語族に属する言語も話されており、学校では第二国語として教えられているところもあるそうです。東フリースラントでは、東フリジア語がドイツ語の少数言語として扱われ、話者は2000人ほどだそうです。
世界遺産のワッデン海へ
東フリースラント及びフリースラント全体のさらなる魅力は、ワッデン海(Wattenmeer)にあります。ドイツでは、2009年に世界遺産登録されたワッデン海ですが、今日では、オランダ、ドイツ、デンマークの三国に亘る世界遺産となっています。このワッデン海の最大の特徴は、北海と陸地の間にある水域及び、海岸の湿原地である世界最大の干潟であり、全長500キロ、面積にすると約1万㎢にも及びます。この干潟地帯には、多種多様な生物が生息しており、昆虫、魚類においては2000種以上にも及ぶそうです。干潮時には、日向ぼっこをしている大量のアザラシを観測するツアーまであるほどです。
6時間ごとに満潮と干潮を繰り返すこの地域の風景は変化に富み、天候も変わりやすいそうです。また、ワッデン海の最大のスポーツともされるワドローペン(オランダ語で泥歩きの意)もこの地でしかできないアクティヴィティです。干潮時には、干上がった陸を歩いて、近くの島まで行くこともできるそう。見渡す限りの水平線を楽しむことができるのは、干潟ならではの楽しみともいえます。
南ドイツの牧歌的な雰囲気や、ベルリンの先鋭的な雰囲気とは全く違う北ドイツ、北海沿岸の東フリースラントは、一般的なドイツのイメージにはない魅力があるようです。東フリースラントの紅茶、泥歩き、いつか体験してみたいものです。
参考HP
- フリースラント Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%88
- 東フリースラント諸島 Wikipedia
- フリースラント王国 Wikipedia
- 東フリジア語 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E3%83%95%E3%83%AA%E3%82%B8%E3%82%A2%E8%AA%9E
- ワッデン海 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%83%83%E3%83%87%E3%83%B3%E6%B5%B7
- Wadden Sea UNESCO
http://whc.unesco.org/en/list/1314/
これまで【日本人からみると不思議なドイツ事情】、【ものづくりの国ドイツ】を担当してまいりました、HHです。京都生まれ。ドイツ・フライブルク大学卒。留学中に得た経験をもとに、独自のアンテナを張って様々な側面からみたドイツをお伝えしていきたいと思います!皆さまのドイツ文化に関する興味・関心、ブログの感想もぜひ聞かせて下さいね。
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