ドイツの自然療法、そして自然療法士

ドイツは医療先進国であり、西洋医学の基盤も築いてきた伝統があります。しかし、その一方で、自然療法―Naturheilkundeも盛んで、主要先進国の中で、最も代替医療が活用されている国とも言われています。多くの人が、様々な方法で癒しを求める現代。ドイツの自然療法についてご紹介します。

自然療法とは

 

さて、まず代替医療とは、近代医学的な分析的・科学的なアプローチの限界を指摘し、患者の心身全体の調和を取り戻そうとする医療であり、中国医学や漢方医学、アーユルヴェーダなどが代表的だそうです。自然療法というのも代替医療として考えられており、ドイツの伝統的な自然療法には、ドイツ人医師、ザムエル・ハーネマンが提唱したホメオパシーや、アロマセラピー、ハーブ療法などがあります。19世紀末の神父であり自然療法士であったセバスチャン・クナイプが考案した、水や植物などを用いて自然治癒力を引き出すクナイプ療法も、伝統的なドイツの自然療法です。日本ではクナイプ社の入浴剤でその名は知られているでしょうか。また、鍼灸、漢方といった東洋の自然療法も根付いており、さらには、温泉療法、マッサージ、リラクゼーション法など、種類、方法も多様化しています。

国家資格、ドイツの自然療法士

 

さて、実際にこれらの自然療法を行うのは、ドイツ国内では国家資格が必要となる自然療法士の仕事です。自然療法を行う自然療法士、ドイツ語でハイルプラクティカーは1939年に制定されたハイルプラクティカー法に基づく国家資格で、医師免許を持たずとも、診断、治療などの行為を認める免許が与えられます。試験内容は、解剖学・生理学・病理学といった西洋医学と、関係法規(ハイルプラクティカー法、感染症法など)の筆記試験と、鑑別診断、実技(注射、診察方法)などの口頭試験があります。

ドイツ国内の自然療法士は約47,000人にも上り、毎日、約128,000名の人々が自然療法士の診療所を訪れています。(2017年、Bund Deutscher Heilplaktier調べ)このハイルプラクティカー法は、自然回帰運動なども盛んであったナチス政権時代に制定された法律ですが、戦後政権下では、その存続価値を十分に吟味されたうえで制定は現存しており、今日に継承されているとのことです。

自然療法士が行う、自然療法、然り代替医療は、ドイツ国内の民間の医療保険において広くカバーされています。また伝統的な西洋医学の反省点に国民も敏感であるため、東洋医学への期待も高く、民間の保険会社が、積極的に保険適応を取り入れる傾向もあり、製薬会社や医療機器メーカーも、代替医療の分野の研究を推進しているとのことです。

健康への関心が高まる今日この頃。伝統的医学、自然療法に拘わらず、自分に合った方法を取り入れて、うまく活用していきたいですね。


参考HP

 

 

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