ドイツの長い休暇
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しばしば指摘されることですが、ドイツと日本は質実剛健で勤勉な点が似ているといわれます。しかし実際比較してみると、休暇と仕事に対するスタンスはかなり異なるようです。今回はドイツ人の長い休暇についてお伝えします。
意外と少ないドイツの祝祭日
日本とドイツの祝祭日は、どちらが多いと思いますか?2019年ですと、日本では振替休日を合わせて22日になります。今年は天皇(現・上皇)の退位、今上天皇の即位、さらに10月22日の「即位礼正殿の議」という今上天皇即位を公に示す儀礼など、今年限りの祝日が3日もあります。さて一方ドイツの祝祭日ですが、これは州ごとに違いがありますが、全州共通の祝日は10日です。
【2019年・ドイツ16州の祝日数】
- バーデン=ヴュルテンブルク州 12日
- バイエルン州 13日
- ベルリン都市州 10日
- ブランデンブルク州 12日
- ブレーメン都市州 10日
- ハンブルク都市州 10日
- ヘッセン州 9日
- メクレンブルク-フォアポンメルン州 10日
- ニーダーザクセン州 10日
- ノルドライン-ヴェストファーレン州 11日
- ラインランド-プファルツ州 11日
- ザールランド州 12日
- ザクセン州 11日
- ザクセン-アンハルト州 10日
- シュレースヴィヒ-ホルシュタイン州 10日
- トューリンゲン州 10日
全州で共通する祝日は、イースター、精霊降誕祭、クリスマスなどのキリスト教の行事が主で、あとは元旦、ドイツ統一記念日、メーデーなどになります。そして、カトリック信者の多い南ドイツにおいては、キリスト教系の祝日がさらに多いのです。こうしてみると、10日ほど日本の祝祭日の方が多いのがわかります。
しっかり休んでしっかり働く
祝日が意外と少ないドイツですが、学校や大学の休暇期間は実際には長いのです。カーニバル休暇1週間、イースター休暇2週間、精霊降臨祭休暇は2週間ほど、夏休み6週間、秋休み1週間、クリスマス休暇2週間と、かなり頻繁に長期休暇があります。そして、社会人で正規雇用の場合は、平均で30日の年次有給休暇が与えられ、さらには1年間に3週間連続で休暇をとる義務があります。実際に有給休暇は年間で平均29日間がしっかり取得されていますし、長期休暇をとらない場合は、休暇をとらない具体的な理由書を提出する必要もあるそうです。
また日本とドイツの一人当たりのGDPもしばしば比較され、日本人はドイツ人よりも労働時間は長いのに、生産性はドイツより低いという統計結果がでています。このような結果をみると、たしかにドイツでは、“効率的”(effizient)という言葉がとても好まれていることを思い出します。それを確実に実践しているから、生産性の高さと有給取得率の高さが両立しているのでしょう。
休暇の長いドイツですが、働き方も徹底して効率を重視しているんですね。このようなドイツ的働き方を、参考にする日本企業もあるようです。社会的背景や制度が大きく違うドイツと日本ですが、より良い社会を目指してお互いに良いところを取り入れていければいいですね。
参考HP
これまで【日本人からみると不思議なドイツ事情】、【ものづくりの国ドイツ】を担当してまいりました、HHです。京都生まれ。ドイツ・フライブルク大学卒。留学中に得た経験をもとに、独自のアンテナを張って様々な側面からみたドイツをお伝えしていきたいと思います!皆さまのドイツ文化に関する興味・関心、ブログの感想もぜひ聞かせて下さいね。
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