Ehe für alle! ドイツの同性婚
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今年3月、札幌で行われた同性婚訴訟において、同性婚を認めないのは憲法14条「婚姻の自由」と憲法24条「法の下の平等」に反する違憲との判決が出され、日本での同性婚合法化への大きな第一歩が踏み出されました。
さて、一方ドイツでは、登録パートナーシップ制度が2001年から導入されていましたが、同性婚が法的に合法化されたのは2017年で、比較的最近のことです。ドイツでは、長い間議論が重ねられてきたため、他の欧米諸国より一足遅れて導入されたという経緯があります。
同性婚導入までの道のり
同性婚が世界で最初に合法化されたのは、2001年オランダにおいてでした。しかしデンマークでは1989年に同性間のパートナーシップが法的に認められる制度(シビルユニオン、登録パートナー制度など名称は国による)が導入されており、結婚に準ずる法制度は既に整備されていました。オランダを皮切りに、その後世界中で同性婚を合法化する流れが進み、2020年12月現在では欧州、南米、北米を中心に29ヵ国で合法化されています。アジア圏では唯一台湾で認められているのが現状です。
ドイツでは2001年に「登録された生活パートナーシップ制度(Eingetragene Lebenspartnerschaft)」が導入され、2005年の改訂を経て、制度の内容は婚姻へと近づきましたが、養子縁組は認められていませんでした。
国民の意識調査でも、同性婚の合法化への賛成は83%にまで高まっていましたが、メルケル首相は、子供の福祉の観点から長らく反対しており、保守派の姿勢を維持していましたが、2017年6月に方針を容認へ一転し、急転直下、2017年6月30日にドイツ連邦議会で同性婚の法案が可決しました。これは、メルケル首相が8人の養子と暮らすレズビアンカップルから感銘を受けたためとも、数か月後に控えていた総選挙のための政治的パフォーマンスとも伝えられています(ただしメルケル首相自身は反対票を投じています)。
ドイツの同性婚の現状
2017年の導入以降、2019年末までに同性婚をしたカップルは、約4万7千組、そして登録パートナー制度から婚姻関係に変更したカップルは2万6千組を超えており、ドイツの同性婚は約7万組以上にものぼります。男性同士、女性同士のカップルの数は、男性カップルが23,581組、女性カップルが23,341組と、若干男性カップルが多いものの、ほとんど同数といえる数字となっています。
現在では、同性パートナー間で、生殖補助医療を利用して授かった子供に関する問題である血縁法(Abstammungsrecht=血縁に基づく権利)が議論になっており、異性間での婚姻と異なる点もまだ存在しています。
一方、カトリック教会の総本山バチカンでは、今日もなお同性婚を認めていないため、教会自身に対する失望も高まっていますが、ドイツ国内では、カトリック聖職者たちが独自に同性婚を祝福するとともに、多様な婚姻関係を支持する動きも見られます。今後も同性婚への社会的容認は世界的に進んでいくことでしょう。
参考HP
- 杉田水脈氏の「LGBTは生産性がない」発言をドイツ的視点から考える
- 同性婚認めないのは違憲の初判断 国への賠償は退ける 札幌地裁 NHKニュース
- 『ドイツにおける同性婚導入』 渡邊康彦 京都産業大学デポジトリ 2018
- WIE VIELE GLEICHGESCHLECHTLICHE EHEN GIBT ES IN DEUTSCHLAND? Lesben- und Schwulenverband
- Regenbogenfamilien: Gespräche über Reform des Abstammungsrechts Redaktionsnetzwerk Deutschland
- Katholische Gemeinden feiern die Segnung homosexueller Paare DW
これまで【日本人からみると不思議なドイツ事情】、【ものづくりの国ドイツ】を担当してまいりました、HHです。京都生まれ。ドイツ・フライブルク大学卒。留学中に得た経験をもとに、独自のアンテナを張って様々な側面からみたドイツをお伝えしていきたいと思います!皆さまのドイツ文化に関する興味・関心、ブログの感想もぜひ聞かせて下さいね。
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