ようこそ、ドイツの心霊世界へ!

 日常の世界を超えるような、不思議な現象。例えば幽霊、超常現象、死後の世界…。稲川淳二さんが語るようなそんな世界は、日本特有のものなのでしょうか。いえ!文化差はあれど、都市伝説や幽霊スポットなどがドイツにもあるようです。論理的で合理的、現実に即した世界を重んじるといわれているドイツ人にそのような意識はあるのでしょうか?!

古城の幽霊、ポルターガイスト、ドッペルゲンガー

 

ヨーロッパ諸国でみられる幽霊のひとつに「白い貴婦人」(Weiße Frau)がいます。白い貴婦人は、バイエルン州の町クルムバッハにあるプラッセンブルク城城主の夫人、クニグンデの伝説が起源といわれています。クニグンデ夫人は、城主オットー6世の死後に、ニュルンベルク城伯アルブレヒトとの再婚を望みましたが、アルブレヒトに「二対の目が結婚を妨げている」と告げられ、クニグンデ夫人は、この二対の目を前夫との二人の子供のことと解釈し、直ちに子供たちを殺害してしまいました。しかし、このことをアルブレヒトに告げたところ、この二対の目とは彼自身の両親のことで、両親の反対を押し切ってまで結婚するつもりはないとクニグンデの求婚を退けました。自ら子供を殺めた事への後悔の念から、彼女の霊が城内を今でも彷徨っている…というお話。フランスやオーストリア、チェコなどでもお城に出る白い女の幽霊の話があり、西洋の典型的な幽霊ともいえるようです。

また、ポルターガイストやドッペルゲンガーなどは、日本語、英語など多数の言語において、外来語として、そのままドイツ語が根付いています。

物が勝手に動き出す現象であるポルターガイストは、16世紀、ルターの『卓上語録』の中で初めて登場した単語のようです。ルター自身がこの現象を体験したことが語られており、ルターによるドイツ語訳の聖書の拡がりと共に、この言葉も一般化されていったとの説があります。

そして、自分自身の幻影であるドッペルゲンガー。こちらは19世紀のドイツ・ロマン主義派の作家、E.T.Aホフマンやジャン・ポールなどに好まれたモチーフであるため、ドイツ文学の拡がりとともにこの言葉も外来語として根付いたと思われます。

 

チョッパー騒動を巻き起こした歯科医Kurt Bachseitzと歯科助手 https://www.spiegel.de/geschichte/legendaere-spuk-posse-claudias-geist-a-947494.htmlより引用
チョッパー騒動を巻き起こした歯科医Kurt Bachseitzと歯科助手 (https://www.spiegel.deより引用)

警察も総動員!ドイツの幽霊事件簿

 

ドイツでは、警察の特捜本部も設置され、日本やその他外国のメディアからも注目された幽霊騒動があります。時は1981年、バイエルン州レーゲンスブルクからほど近いノイトラウブリングという町の歯科医院に、チョッパー(Chopper)という幽霊がでたと通報されました。患者の診察中に暴言が聞こえ、奇妙な音が続く現象が起こっていたそうです。この現象にバイエルン州全体が恐怖に怯え、挙句には警察のみならず、通信傍受の専門家、超心理学学者までも動員して調査に当たりましたが、実態はなかなか明らかになりませんでした。

世間を巻き込み、半年に亘ったこの現象ですが、警察の尽力により、歯医者とその妻、そして歯科助手の三人による悪戯だったことが判明。世間を愚弄した彼らは、3万5千ドイツマルクの罰金が課せられました。

 合理的で現実主義的というレッテルをしばしば貼られるドイツ人ですが、幽霊伝説もあり、でっち上げの怪奇現象に怯えることもあるようです。さらにナチスは思想にオカルト信仰も取り入れていたという話もあります。とはいえ、幽霊話、妖精などの寓話が多いイギリスに比べると、少々迫力にかけるかもしれませんが!


参考HP

 

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