ドイツの高級リゾート ズィルト島

 

先月の精霊降誕祭(Pfingsten)の休暇期間に“Sylt-Video”と名付けられたスキャンダルが起こりました。

ドイツ最北端にある高級リゾート地であるズィルト島のとあるディスコで、ドイツ人たちが「外国人は出ていけ!」と踊り叫んでいる様子がSNSに投稿され、国内で大問題となりました。

右傾化するドイツを危惧する声が国内でも高まっていますが、今回はこの事件についてではなく、奇しくもその舞台となってしまったズィルト島、ドイツ人の憧れの高級リゾート地についてお伝えします。

 

ヒンデンブルクダムを走る鉄道は車両ごと乗り込むことが可能

 

ドイツ最北端、ズィルト島

 

北ドイツ、シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州に属するズィルト島は、北フリージア諸島最大の島でドイツでは4番目に大きい島です。

ドイツの最北端に位置しており、デンマークとの国境付近にある島ですが、カタカナの「ト」のような形をしているのが特徴。

ほぼ内陸国であるドイツでは、海での休暇が特別であるということは想像に難くないですが、その中でもズィルト島は格別な存在でドイツ人の憧れの土地といわれています。

本土と島をつなぐのは、海に盛土して作られたヒンデンブルクダムを走る鉄道。

世界遺産にも登録されている世界一の干潟であるワッデン海に浮かぶダムを渡る鉄道はなかなか壮観です。

島内は高級ホテル、高級レストラン、高級ブティックといった富裕層をターゲットにした商業施設が多くあり、ズィルト島はドイツ人にとっての富、贅沢、セレブの象徴となっています。

 

 

著名人が集う島の不動産は28億円⁉

 

著名人、セレブらがこぞって愛するズィルト島ですが、20世紀初頭は作家や芸術家、俳優たちが好んで休暇や創作活動の地としており、作家のトーマス・マンシュテファン・ツヴァイク、画家のエミール・ノルデ、稀代の女優マレーネ・デートリッヒなどに好まれ、文化人たちのコロニーとなっていた歴史があります。

またナチスの最高幹部でもあったヘルマン・ゲーリングも休暇を過ごしていましたが、第二次世界大戦中は閉鎖地区となり、観光客は途絶えていました。

戦後の1950年代から60年代においてはズィルトの黄金期ともいえ、伝説のプレイボーイともいわれる実業家、作家、写真家でありブリジット・バルドーの三番目の夫であったギュンター・ザックスがブリジット・バルドーやセレブ仲間を引き連れてパーティーをし、ビーチで注目を浴びていたとか。

余談ですが、今回の事件、“Sylt-Video”の舞台となったのは、“ポニークラブ”という1961年に開業している歴史のあるディスコでの出来事でした。

 

さて、芸術家や女優、実業家以外にも、スポーツ選手や海外の皇女なども集うズィルト島ですが、この島の不動産はドイツ国内で最も高い地域の一つといわれています。

中でも最も高いのがカンペン地域で、一平方メートル7500ユーロと、ドイツ国内の平均値227ユーロと比べると約33倍もするそうです。

この高級住宅地にある最も高い物件のひとつには1700万ユーロ、およそ28億円(1ユーロ170円換算)もする物件もあり、桁外れの額に脳が思考停止してしまいますね。

地元住民には到底手の届かない額だそうで、高級リゾート地であるがゆえの問題も抱えており、別荘ばかりのこの島は夏のシーズン中と週末以外はゴーストタウンのようになってしまうそうです。

 

なかなか日本では紹介されることのないズィルト島。日本からも遠く、憧れの土地ですね。

 


参考HP

 

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