チューリッヒの春祭り
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日本の冬は乾燥していて、晴れる日が比較的多いのに対して、スイスでは曇りや雨の日が多いです。そんな少し憂鬱な冬が終わり、ますます晴れ天候が増えてきて、さまざまなお花が咲き綻びる春になりました。
今回は、そんなチューリッヒの春を語る上で欠かせないチューリッヒ独自のお祭りを紹介したいと思います。
Sechseläuten
毎年4月の第三週目の月曜日になると、チューリッヒの町で「Sechseläuten(セクセロイテン)」という春祭りが行われます。「sechse」はドイツ語で「6時」を意味し、「läuten」は鐘などが「鳴る」という意味なので日本語だと「6時の鐘の音」という祭りの名になるでしょうか。今年の「6時の鐘の音祭り」は4月17日に行われました。
実はこのお祭りはその前の週の金曜日から週末を挟んで月曜日まで4日間にわたって行われますが、ハイライトはなんと言っても最終日の月曜日です。
まずはギルド(Zunft)と呼ばれるチューリッヒ昔ながらの職業組合のパレードが行われます。そして、午後6時になると、Bööggと呼ばれる藁で作った雪だるまの人形を燃やす、この祭りの最大のイベントが始まります。
パレードには地元チューリッヒのギルドが参加し、およそ3500人のギルドメンバーがそれぞれの仕事柄と関係した制服や衣装を身に纏って、350人を超える騎士や約30の音楽隊と一緒にゼクセロイテン広場を目指してチューリッヒの街中を行進します。
チューリッヒはスイス最大の都市とはいえ、普段は町中に人が溢れるような光景は目にしたことがなかったのですが、この日はパレードを見物する人で沿道が溢れ、身動きができなくなるほどでした。
実はこのギルドたちの存在はSchseläutenの名前と深く関係があります。
昔は冬の間は外が暗いため、夕方5時までしか働けなかったのですが、夏場になると日が長くなるため、夕方6時まで働くことができました。そして、当時はまだ時計が普及していなかったので、6時になると、チューリッヒにある「Grossmünster (グロスミュンスター)」という大聖堂の鐘の音を合図に職人たちに終業時間を知らせていました。
この春祭りの名前である「Sechsläuten」(6時の鐘の音)の由来はここからきているそうです。
メインイベント Bööggで今年の夏を占う
パレードがまだ続いている中、午後6時になると、チューリッヒ大劇場に面する大きなゼクセロイテン広場でいよいよ巨大雪だるま人形を燃やすメインイベントが行われます。
広場の真ん中に、10メートルほど積み上げられた木材の上に、Bööggという藁で作られた巨大雪だるま人形があらかじめ立てられます。そして6時の鐘の音を合図に、木材の山が点火されると、その周りを騎馬隊が駆け巡り、演奏隊が音楽で会場を大いに盛り上げます。
冬を象徴する雪だるま人形の中には火薬が詰められており、点火されてから、その頭が爆発するまで何分かかるかで、これから到来する夏の気候の良し悪しを占うのです。
爆発するまでの時間が短ければ短いほど、気候が良く過ごしやすい夏になると言われています。チューリッヒの人たちがいかに夏の到来を心待ちにしているかを窺うことができるイベントですね。
さて、私が参加した今年のSechsläutenですが、今年は雪だるま人形に点火してから10分ほど経過した頃に、あいにく雨が降り始め、それのせいか点火から雪だるまの頭が爆発するまで57分もかかってしまいました。これはこれまでの最長記録時間だそうです。
今回は現地で実際に春祭りに参加してみて、チューリッヒの人々がいかに夏の訪れを楽しみにしているかを肌で感じることができました。
チューリッヒの春祭り「Sechseläuten」の現地レポートはいかがでしょうか?
爆発までの時間は今までで一番長い年になり、今年の夏の気候がちょっぴり心配になりましたが、雪だるまの予報に反して今年も素敵な夏が訪れることを願っています。
最後に、パレードが終わって、役目を終えた馬の鼻先におじさんがニンジンを当てながら馬を車の中に誘導している写真をご紹介します。スイスならではのちょっと微笑んでしまう牧歌的なシーンでした。
不定期掲載ですが、また、現地ならではのスイスレポートをお届けしますので乞うご期待!今後もどうぞよろしくお願いします!
どうもこんにちは。中国吉林省産まれ、東京都育ち、都内大学でドイツ語を専攻するZCです。現在、大学の派遣留学でスイスのチューリッヒ大学に来ております。ヨーロッパでの生活や現地ならではの情報を皆さんにお伝えしたいと思います。ブログの感想など頂けたら幸いです
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