ドイツ最大の湖 ボーデン湖 

ドイツ最大の湖、ボーデン湖。その大きさは536㎢で、日本最大の湖である琵琶湖と比べるとその大きさは琵琶湖の約3分の2程度です。しかしその貯水量は琵琶湖の2倍で50㎦にもなります。内陸国であるドイツは、海に面している土地が少ないものの、国内にある湖の数はおよそ12,000以上にものぼり、その多くが北ドイツか南ドイツのアルペン地方に集中しています。

 

 

 

 

 

三国に属するボーデン湖

 

ボーデン湖はコンスタンツ湖とも称されており、ドイツ、スイス、オーストリアの三国に属し、三国で共同統治されている湖で、ドイツ国内では最大の湖です。湖は南東から北西に延び、大きく分けて、オーバー湖、ユーバーリンガー湖、ウンター湖の三つの湖に分かれています。氷河の作用によってできた氷河湖であるボーデン湖には、ドイツ最長の河川であるライン川も流入しており、交易の場としても発展してきました。紀元前1世紀にはローマ帝国が拠点を築きはじめ、湖畔西の都市コンスタンツは、4世紀、時の皇帝コンスタンティヌス・クローレの名に由来しており、7世紀にはキリスト教の司教座もおかれ、南ドイツ最大の宗教都市としても発展しました。

また、湖畔に位置する都市フリードリヒスハーフェンは、飛行船ツェッペリンが誕生した土地としても有名で、ボーデン湖上を飛ぶ飛行船の姿も、ボーデン湖ならではの情景といえます。

 

 

 

湖上に浮かぶ島々 リンダウ、マイナウ、ライヒェナウ

 

ワイン栽培もさかんで、国内外からも人気の観光地のボーデン湖ですが、湖にはドイツのヴェネチアともいわれるリンダウ島、花の島という異名を持つマイナウ島、そして世界遺産にも登録されているライヒェナウ島が浮かんでいます。

 

リンダウは湖東に位置し、陸部と島部が橋で結ばれています。9世紀にスイスのザンクトガレンの修道士によって町の基盤が築かれ、中世から物流の拠点となる港を持ち、30年戦争の際には、スウェーデン軍の追撃から町を守り抜いた逸話もあり、歴史的建造物も多いです。今日では毎年「リンダウ・ノーベル賞受賞者会議」が行われ、ノーベル賞受賞者が世界中の若手研究者を招待し、講演やディスカッションを行う国際会議が行われています。

 

マイナウ島は、島全体が花の楽園ともいわれるほど植物に溢れていますが、これは19世紀半ばにこの島を支配したフリードリヒ1世の意向によるもので、現在ではスウェーデン王族ベルナドッテ伯爵の財団が島を所有しています。

 

そして、ボーデン湖最大の島であるライヒェナウ島は、僧院の島として世界遺産登録され

ています。ライヒェナウ修道院はアイルランドの隠密修士ピルミンによって8世紀に建立され、ホーエンツォレルン伯の潤沢な援助を受け、カール大帝の統治下でフランク王国の大修道院となり、中世キリスト教社会においても重要な位置を占めました。今日では3つの聖堂(ザンクト・ペーター・パウル聖堂、ザンクト・マリア・マルクス聖堂、ザンクト・ゲオルグ聖堂)が現存しており、ザンクト・ゲオルグ聖堂の8面にわたる壁画『キリストの奇跡』は、10世紀当時のままに修復、保存がなされている希少な作品です。

中世のライヒェナウでは、神学校、写字室、工房も設けられ、ドイツ初期中世の芸術的価値の高い写本といわれるオットー朝写本装飾の一派(通称ライヒェナウ派)が生み出された地としても有名で、さらに重要な文献を保存していた文庫もあったため、11世紀半ばまでは芸術、学術分野でも評価されていました。

 

日本ではあまりなじみのないボーデン湖と島々、そして湖畔の町々ですが、キリスト教文化が色濃く残るため歴史を感じることもできるうえに、湖とアルペン山脈、ワイン畑などのドイツ的な自然の美しさも感じられます。

 


 

参考HP

 

  • Gut zu wissen: Die wichtigsten Facts über Seen in Deutschland Leibziger Volkszeitung

https://www.lvz.de/familie/regional/gut-zu-wissen-die-wichtigsten-facts-ueber-seen-in-deutschland-HZRO3FCSZIW54DLLZULDYKHG3Y.html

 

参考文献

 

  • キリスト教辞典 大貫隆 名取四郎 宮本久雄 百瀬文晃編 岩波書店 2002

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