ドイツの春の味覚! ホワイトアスパラガス Spargel
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こんにちは!5月のドイツはお天気も安定しており、とても気持ちが良い日が続いています。ドイツの4月から6月にかけて、絶対に外せない食べ物と言えば、ドイツ人がKönig des Gemüsesと呼ぶホワイトアスパラガスではないでしょうか。以前、【ソーセージだけじゃない!ドイツ人が愛する白アスパラガス】のブログでHHさんが一度取り上げられていますが、食いしん坊の私としては、ドイツの春に存在感を放つホワイトアスパラガスのテーマは避けて通れないため、今回は私からも改めてホワイトアスパラガス愛を語らせていただきたいと思います。
別格扱いの野菜
日本ではグリーンアスパラガスが一般的ですが、ドイツではアスパラガスと言えば、「ホワイトアスパラガス」が主流です。ドイツ語では「シュパールゲル」(Spargel)と云います。昔は庶民の手の届かない高級食材で、貴族が食べていたというセレブな野菜です。グリーンアスパラガスとホワイトアスパラガスには品種の違いはなく、栽培方法が異なるだけです。グリーンアスパラガスは日光に当てて栽培されますが、ホワイトアスパラガスは発芽後、若芽に日光が当たらないように大切に土の中で栽培されるため、葉緑素が作られずに白色のまま成長します。栽培に手間がかかるため、ホワイトアスパラガスはグリーンアスパラガスと比べて、値段も高めです。ホワイトアスパラガスが市場に出回る4月半ば頃は、1kg当たり18ユーロ~20ユーロの高値がつきます。シーズン後半(ホワイトアスパラガスの販売は6月24日の聖ヨハネの祝日までと決められています)が近づくにつれ、徐々に値段が下がって7ユーロ/kg程に落ち着きます。スペイン産の安価なホワイトアスパラガスもスーパーマーケットで購入できますが、ホワイトアスパラガスはなんといっても鮮度が命!その日の採れたてを食べるのが一番美味しいので、私は必ず地元のドイツ産を買います。
茹でたホワイトアスパラガスには、バターをふんだんに使ったオランデーズソースをかけ(溶かしバターと塩だけでも美味しい)、付け合わせに茹でたジャガイモ、好みで生ハム等を添えて食卓に供します。新鮮なホワイトアスパラガスは柔らかく、ほのかに苦みがあるものの、優しい甘い風味がお口いっぱいに広がり、「あ~ドイツの春の味覚だな~!」と実感します。ホワイトアスパラガスをレストランで注文すると、付け合わせとして、シュニッツェルや牛のステーキ、カレイや鮭のソテー等々といったものが選択できるのですが、ホワイトアスパラガスが別格扱いなのは、ステーキも魚のソテーもあくまでも脇役であって、メインデュッシュが野菜のホワイトアスパラガス様であることです。肉や魚を差し置いて、主役級の扱いを受けるホワイトアスパラガスは、まさに「野菜の王様」と呼ばれるのに相応しい存在だと言えます。
ホワイトアスパラガスの収穫
5月、6月というシーズン真っただ中の白アスパラガスは、土の中で一日になんと15センチも成長するため、毎日収穫する必要があります。白アスパラガスの掘り起こしには、専用のSpargelstecher(アスパラガス用ナイフ)という細長い道具を使い、隣に埋まっている白アスパラガスや根っこを傷つけないように注意しながら掘り出します。私も一度、ブランデンブルク州にあるホワイトアスパラガスの名産地、Beelitzで一本だけ収穫を体験させてもらいましたが、たった一本掘り出すのに30分はかかったでしょうか?とても苦労しました。もちろん作業に慣れたら、もっと効率的に掘り出せるのでしょうが、かがんだ姿勢でナイフを使ってアスパラガスを掘り出し、直射日光が背中に照りつける状態で長時間作業しなければならない作業者は本当に大変だ!と思いました。
ホワイトアスパラガスの収穫は、過酷な重労働であるので、ドイツ人でやりたがる人はいません。このため、アスパラガス農場の経営者は、シーズンになると賃金の安いルーマニア、ブルガリアなどの東ヨーロッパの国々から季節労働者を呼び寄せます。彼らの労働条件はお世辞にも良いとは言えず、出来高払いの賃金が最低賃金を下回っていたり、休憩が短すぎたり、健康保険の適用外であったり、宿泊先が他の季節労働者で一杯で不衛生な環境であったり。。。と様々な問題があるため、よく報道でも取り上げられています。またアスパラガスだけでなく、イチゴやワインのブドウ等の収穫においても、ドイツは東ヨーロッパからの季節労働者の労働力に頼っています。東ヨーロッパからの季節労働者なしでは、農場経営が成り立たず、またホワイトアスパラガスが消費者の手が届く価格で提供されることも困難になることでしょう。
ドイツ産白ワインと一緒に楽しむ
さて、ドイツの春の風物詩「ホワイトアスパラガス」ですが、確かに美味しいのですが、そんなにドイツ人が熱狂するほど美味いのか?と問われたら、正直、私はそこまでとは思いません。私が見聞きする限り、ドイツ在住の日本人や、イタリア人、フランス人など、そもそも出身国の料理レベルが高い場合、ホワイトアスパラガスを食べてもそこまで感動しないようです。でも、季節限定のホワイトアスパラガスには、シルヴァーナ種のワイン、ヴァイスブルグンダー(Weißburgunder)、リースリング(Riesling)などのドイツの各種白ワインがとてもよく合います。この組合せなら日本人でも唸るはず。それに、どのワインに合わせようかな?と考えるのも楽しいものです。春にドイツに来られる方は、春しか食べられない、季節限定の採れたてのホワイトアスパラガスをドイツ産白ワインとともに楽しむのがお勧めです!
参考ウェブサイト
https://www.spargel.net/wissenswertes/unterschied-zwischen-weissem-und-gruenem-spargel/
大阪育ちの日本人。ベルリン自由大学卒業。現在ドイツ・コブレンツ在住。趣味は山登り、テニス、アスリート飯作り。担当する新シリーズ「住んでみてわかったドイツ」では、ドイツ居住歴16年の経験を生かして、現地からの生情報をお伝えしたいと思います。皆様からのリクエストや感想もお待ちしてます!
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