ポップス音楽で聴くドイツ語
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こんにちは!皆さんはドイツ語のポピュラーミュージックをよく聴かれますか?
普段ドイツ語を実際に使う環境にいなくても、YouTubeなどを使えば、ドイツ語の曲をすぐに聴けるので、本当に便利な時代になりました!
ドイツ語のポップスはちょっとダサい?
ドイツ語のポップスは、普段耳にしている英語の洋楽と比べて、響きが滑らかではないと感じる方が多いかもしれません。英語ならフレーズが流れるように聞こえるのに、ドイツ語の歌ではそうはいかない。それは、多くのドイツ人も同感のようで、実際にドイツ人アーティストでも母国語のドイツ語ではなく、英語で歌うシンガーも多いです(英語で歌った方が、世界市場に参入しやすいという理由もありますが)。私にはギムナジウムに通う子供がいますが、彼らも「ドイツ語の歌は英語と比べるとあまりクールじゃないんだよね。」と呟いています。またドイツ語が母国語の人にとっては、ドイツ語で歌を聴くと、母国語であるがためにどうしても歌詞が耳についてしまうため、BGMとして流しにくいと感じることもあるようです。
ドイツ語はヒップホップやラップと相性が良い!
実はドイツ語はヒップホップやラップとは相性が良いんですよ!ヒップホップやラップでは、同じ音や母音を持つ単語を繰り返す「韻を踏む」手法が使われていますね。ドイツ語の韻のほんの一例を挙げると、Haus – Maus、Rind – Kind、Dank – Krank等々。韻によって、歌のリズムにアクセントが付いて強い印象を与えてくれます。
ここで紹介するのは2004年にミュンヘンで結成されたバンド、Einshoch 6の 「Lass uns reden」という曲。この歌は所々に韻をちりばめながら、「言葉が持つ力」について訴えています。言語を学習する人にとって共感できる内容なので、歌詞の内容にも注目してくださいね。あなたはドイツ語の韻をいくつ見つけることができますか?
つい歌詞に意識が向いてしまうドイツ語ポップス
メッセージ性が強く、ついつい歌詞に意識が向いてしまう曲を紹介します。せっかくなら、ドイツ語の歌詞が持つ意味やその背景を頭に浮かべながら聴いてみたいですね。
1993年にハンブルクで結成したインディー・ロックバンド 「Tocotronic」が2022年1月に「Nie wieder Krieg」というニューアルバムを発表しました。そのアルバム発表から僅か1ヶ月後にロシアがウクライナに軍事侵攻することを、まるで予期していたかのようなタイミングです。この歌はとてもゆっくりと語るように歌いかけているので、聞き取りやすいでしょう。「Nie wieder Krieg, nie wieder Krieg, nie wieder Krieg」と何度も繰り返されるフレーズ。このフレーズの他に、今重要なことってあるの?と思わされる内容なのですが、実際には、この歌の「Krieg」は「戦争」を指すというよりも、暴力や憎悪によって受ける精神的な傷に焦点を当てているそうです。Tocotronicは、過去にも若者の政治参加を促すプロジェクトを実行したり、難民のサポートを行うなど、社会活動にも積極的なバンドです。
「Nie wieder Krieg」の歌詞はこちら
次に紹介するのが、ラムシュタイン(RAMMSTEIN)の「Deutschland」。
ラムシュタインは日本でもご存じの方は多いことでしょう。メンバーが全員東ドイツ出身、ヴィジュアル的にも強烈なインパクトを放つメタルバンドです。母国語のドイツ語で歌っているにもかかわらず、アメリカやイギリス等の英語圏でも大成功を収めています。その成功の要因となっているのが、煙火術を駆使した過激なライブ。チケットは即売り切れで、入手はとっても困難。
そんな彼らが2019年に発表した曲「Deutschland」とそのミュージックビデオはドイツでもかなり物議を醸した衝撃的な作品です。ビデオでは、ゲルマニア時代、中世ドイツ、宗教改革、ナチズム、焚書、強制収容所、ハイパーインフレ、DDRなど、ドイツの歴史が克明に描写されています。「Deutschland! Meine Liebe kann ich dir nicht geben」という歌詞は、過去の罪悪感から「ドイツよ!どうしても僕の愛を君に捧げることができないんだ」という気持ちを歌っています。
「Deutschland」の歌詞はこちら
その他紹介したい曲を挙げようとすれば、本当にキリがありません。
皆さんも気になるドイツ語の曲を見つけてみてくださいね!
参考
https://www.zeit.de/kultur/musik/2019-03/rammstein-video-deutschland-holocaust
大阪育ちの日本人。ベルリン自由大学卒業。現在ドイツ・コブレンツ在住。趣味は山登り、テニス、アスリート飯作り。担当する新シリーズ「住んでみてわかったドイツ」では、ドイツ居住歴16年の経験を生かして、現地からの生情報をお伝えしたいと思います。皆様からのリクエストや感想もお待ちしてます!
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