家も自分で建てる!? DIY大国ドイツ
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ドイツはサービス砂漠と揶揄されることもありますが、その反動なのか国民性なのか、なんでも自分でやろう!という精神が強く、DIYもごく身近に行われています。身近な家具のペンキ塗りに始まり、車の修理、電話の配線工事、さらには自分の家の庭に、新しい家を一から建てている人を見たこともあります。
DIYの文化的背景
DIYとは、いわゆる日曜大工です。元々はイギリス発祥で、第二次世界大戦後の荒廃したロンドンで、国民たちが自分らの手で復興していこうとする運動における合言葉‐Do it yourselfとして誕生しました。このDIYの概念は、ひとつの精神性を表した運動となり、ヨーロッパ、そしてアメリカへと広まりました。復興の手段であったDIYは、やがて趣味や余暇の対象としてそれ自体が目的となり、アメリカでは巨大なホームセンターを生み出し、ひとつの市場を誕生させるに至りました。
今日では日本でも、100円ショップなどで安価なDIYグッズも販売されており、“日曜大工”と呼ばれていた時代よりもさらにハードルが下がりました。一方ドイツでは、もともとの国民性として、住環境を自分たちで居心地の良い空間に変えていこうとする精神が強くあります。
ドイツ流DIY精神
DIY自体はイギリス発祥ですが、この精神は実にドイツ的精神にマッチしていると個人的には思います。業者に頼るよりも安価に、自分好みの住空間を創造する。節約好きで合理主義、住環境を大事にするドイツ人にとっては最高の手段ではないでしょうか。
そもそもドイツの住宅にはキッチンが装備されていないのがデフォルトで、ホームセンターなどで購入し、据付けを自分でしなければいけないのも特徴的です。棚、自転車、食卓などを自分好みの色にペンキで塗るのはほんの序の口で、賃貸住宅であろうとお構いなく壁の色を自分好みに塗り替えることだってよくあります。DIYの道具は郊外にあるOBI(オビ)やBauhaus、Hornbachといった巨大ホームセンター(ドイツ語でBaumarkt)で入手するのが定番です。
このように、DIY精神が根強いドイツですが、2017年の統計(複数回答可)によると、DIYをする動機には、楽しみ(53%)、趣味(48%)、オリジナルな贈り物づくり(47%)、自分用にカスタマイズするため(43%)、節約のため(34%)、環境のため(16%)などが挙げられています。また4%はソーシャルメディアにお披露目するためという理由もありました。少数ながらドイツ人も“映え”に価値を置いているのでしょうか。
2020年は、コロナ禍の影響もあってか、ドイツのDIY市場の売上高が例年に比べて上昇しましたが、日本でも同じ状況のようで、在宅時間が増えたことでDIY人口が増えているようです。消費より創造。ドイツ人のように一度DIYにトライしてみては如何でしょう?
参考HP
これまで【日本人からみると不思議なドイツ事情】、【ものづくりの国ドイツ】を担当してまいりました、HHです。京都生まれ。ドイツ・フライブルク大学卒。留学中に得た経験をもとに、独自のアンテナを張って様々な側面からみたドイツをお伝えしていきたいと思います!皆さまのドイツ文化に関する興味・関心、ブログの感想もぜひ聞かせて下さいね。
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