ドイツの健康靴
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ドイツ発の靴のブランドといえば、日本でもすっかりおなじみのビルケンシュトックが有名です。しかしドイツ国内では、日本でのおしゃれな商品イメージと違い、ご年配が愛用する健康靴というイメージが強くあるそうです。そう、ドイツ発の靴も、やはり機能性と実用性、履き心地に重点を置いたものづくりが行われています。
ドイツ発の健康靴
ドイツには、コンフォートシューズ、いわゆる履き心地を重視した優秀な靴ブランドが存在します。先に述べたビルケンシュトックは、250年もの歴史を誇るトップクラスの健康靴ブランドで、世界100カ国以上で展開しています。解剖学に基づいて開発された、足の凹凸に柔軟にフィットする「フットベット」を19世紀末から製造販売し、20世紀半ばにはフットベットを備えた医療用サンダルを開発し、コンフォートシューズ分野の基礎を確立したと云われています。
また、ströberやフィンコンフォートも日本で展開しているドイツの健康靴ブランドです。ströberもビルケンシュトックと同様に、足腰への負担を軽減するフットベッドを採用した靴づくりを展開しています。また、子供靴の製造販売から始まったフィンコンフォートは、外反母趾用や偏平足など、足のあらゆるトラブルを解消し、疲れにくく歩きやすい靴を提供する老舗ブランドとして有名です。
これらの健康靴ブランドは、どのメーカーも整形外科医と靴職人による共同開発である「整形外科靴技術」(Orthopädieschuhtechnik)というドイツ特有の技術をもって靴づくりが行われている点が大きな特徴であり、ドイツの健康靴製造の基盤ともいえます。
医療と技術‐整形外科靴技術(Orthopädieschuhtechnik)とは
整形外科医と靴職人によって切り拓かれた「整形外科靴技術」という分野は、解剖学、生理学、病理学といった医学的知識と、製靴技術の両面を兼ね備えた技術であり、第一次世界大戦後の負傷者、足部障がい者たちのために誕生しました。1937年には、医師と靴職人の20年にわたる協働による成果を基に、教育システムと国家資格制度も確立し、整形外科靴製造職人及びマイスター(Orthopädieschuhmacher/in, Orthopädieschuhmeister/in)という新しい職種も誕生したのです。この整形外科靴製造マイスターは、通常の靴職人と違い、製靴の知識と技術のみならず、医学的知見も必要とされ、また個々人の足のトラブルに合わせた靴づくりをするための臨床経験も必須とされています。
ものづくりの技術と医学といったドイツを支える二つの分野のコンビネーションが作り出す健康靴は、何だか無敵のようにも思えますね。このような技術とシステムがドイツの医療のみならず、障がい者福祉の発展にも貢献しているそうです。一歩一歩を快適、健康に歩めるドイツの健康靴。あなたも一足、いかがでしょうか。
参考HP
これまで【日本人からみると不思議なドイツ事情】、【ものづくりの国ドイツ】を担当してまいりました、HHです。京都生まれ。ドイツ・フライブルク大学卒。留学中に得た経験をもとに、独自のアンテナを張って様々な側面からみたドイツをお伝えしていきたいと思います!皆さまのドイツ文化に関する興味・関心、ブログの感想もぜひ聞かせて下さいね。
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