日本とドイツの自殺死亡率について

日本の電車の中吊り広告に、自殺予防週間の呼びかけがあるのを見かけたことがあります。広告の中吊り文化のないドイツと比べると、日本、とくに都内の電車内の中吊広告の多さには驚きますが、その上、自殺予防のポスターまでがあちらこちらにあるという状況は、少々異常にも感じます。しかし、日本の自殺死亡率の高さは世界でも際立っており、大きな社会問題にもなっています。

日本の高い自殺死亡率

国際的にみても高い自殺率の日本。WHO(世界保健機関)の2019年の国別自殺死亡率の統計によると、人口10万人における自殺者の数は18.5という数値で、世界ランキングでは9位、15歳から34歳の死因理由では第1位となっており、G7では日本のみという実情が明らかになっています。(世界ランキングの第1位から3位はリトアニア28.8、ガイアナ27.7、韓国26.5)世界的にかなり高い自殺死亡率ではありますが、実際にはリーマンショックがあった年の翌年である2009年を境に、年々自殺者数は減っており、2018年には37年ぶりに2万千人台を割りました。

一方ドイツは、1982年には32.9と今日の日本よりも高い自殺死亡率でしたが、この年を境に年々減少傾向にあり、2000年代半ばからはおよそ1万人前後、2018年は9041人で、11.0という数値が発表されています。2016年の国別ランキングでは日本は14位、ドイツは46位となっています。

年々減少傾向にあった両国の自殺死亡率ですが、2020年はコロナ禍、そして日本では、相次ぐ芸能人の自殺などの影響もあってか11年ぶりに総数が増加し、前年比では3.7%増となってしまいました。ドイツでも似たような状況なのでしょうか?

コロナ禍におけるドイツの自殺死亡率は?

コロナの影響による日本の自殺死亡率の上昇に鑑みて、その他の国々でもコロナの影響が懸念されています。年々減少傾向にあるドイツの自殺死亡率ですが、2021年3月現在では、連邦統計局による2020年の統計が発表されていないため、正確な影響を分析することは難しいとの判断が専門家達から下されています。とはいえ、一度目のロックダウン期間は、電話やメール、チャットで行われる人生相談や、自殺予防のホットラインへの相談件数が増加しており、ロックダウン解除と共に、件数も再び減少したとのことです。しかし、全体的には例年よりも相談数が増加傾向にあるようで、ドイツ国内でも予防対策が入念に取られている現状があります。

悩みを抱えた時の相談先は以下の通り。

  • よりそいホットライン

0120-279-338

0800/111 0 111(プロテスタント教会の支援)

0800/111 0 222(カトリック教会の支援)


参考HP

 

 

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