ドイツのノーベル賞受賞者―ヒトラーもノミネートされていた?!
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学問・研究の分野でも、世界トップクラスに属するドイツ。ノーベル賞の授賞者数の世界ランキングでは、アメリカ、イギリスに次ぐ、世界第三位の授賞者の多さを誇っています(2020年11月現在)。ドイツ出身の有名な授賞者、思いつきますか?アインシュタイン?レントゲン?ヘルマン・ヘッセ?さて、今回はノーベル賞に関するあれこれをお伝えします。
世界ランキング第三位の実情
ノーベル賞とは、ダイナマイトの発明者、ノルウェーアルフレッド・ノーベルの遺言によって創設された世界規模の賞で、1901年に始まりました。人類の発展のために大きな功績を挙げた研究や活動に対し与えられ、物理、化学、生理学、医学、文学、平和といった5分野に加えて、1968年に追加された経済分野の6分野で授賞されます。
さて、2020年現在の国別ノーベル賞受賞者数の第一位はアメリカで380人、第二位はイギリスの126人、そして第三位にドイツで83人となります。ちなみに日本はスイスと同数の25人で第五位にランクインしています。(wikipedia調べ)
しかし、世界第三位といえど、過去10年間において、ドイツでノーベル賞を受賞したのは、全部門合わせて3人(国外の研究者を合わせると4人)。1940年代まではトップを走り続けたものの、第二次世界大戦による影響は大きく、優秀な研究者は国外流出してしまったようです。また、ドイツ国籍でありつつも、アメリカを始めとした、国外の研究機関に属しながら受賞する研究者は、21世紀の今日も何名か存在します。
ちなみに、冒頭でも挙げたノーベル物理賞を1921年に受賞したアインシュタインと、1946年ノーベル文学賞受賞のヘルマン・ヘッセも、スイスとドイツの二重国籍を持っていました。アインシュタインに関しては、ユダヤというアイデンティティも持っていました。
ヒトラーがノーベル平和賞にノミネート?!
1901年に始まったノーベル賞ですが、戦前のドイツの勢いは目を見張るものがあり、自然科学の分野では目覚ましい活躍があり、多くの受賞者を生み出しました。そしてなんと、あのアドルフ・ヒトラーが、ノーベル平和賞にノミネートされた過去もあるのです。スウェーデンの国会議員であるエリク・ブラントから1939年にノミネートされたのですが、この理由に関しては諸説あり、ヒトラーに対する揶揄、皮肉として選出されたと推薦者ブラントは後に語っているそうですが、ある説では、1938年のミュンヘン会談におけるズデーデン割譲に対するヒトラーの対応が、一時的に平和に導いたと解釈されて与えられたとの解釈もあります。実際には、1939年にヒトラーがポーランドの侵攻を開始したため、推薦は取り消されました。
しかしドナルド・トランプ氏も二度のノーベル平和賞にノミネートされましたし、一般的な「平和」という言葉から想像するものとは、また違った価値基準があるのかしら…と考えさせられますね。
参考HP
これまで【日本人からみると不思議なドイツ事情】、【ものづくりの国ドイツ】を担当してまいりました、HHです。京都生まれ。ドイツ・フライブルク大学卒。留学中に得た経験をもとに、独自のアンテナを張って様々な側面からみたドイツをお伝えしていきたいと思います!皆さまのドイツ文化に関する興味・関心、ブログの感想もぜひ聞かせて下さいね。
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