ドイツの文房具はなぜ優秀?
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Made in Germany -ドイツの製品と聞いて思いつくのはどのような製品ですか?おそらく一般的な日常生活で目にする機会が多いのは文房具ではないでしょうか。ドイツの文房具は日本にもたくさん輸入されており、世界的に有名な老舗ブランドも多く、高い評価を得ています。そこにはどのような背景があるのでしょうか。
数ある伝統的な文具メーカー
万年筆、鉛筆、サインペン、蛍光ペン…、どれをとっても日本に輸入されているドイツの文房具ですが、まずは数々の有名な文具メーカーをざっとご紹介しましょう。
STEADTLER(ステッドラー)
製図用品メーカーのパイオニアと言われ、色鉛筆は評価も高く、今日では150カ国で商品展開しています。世界最古の鉛筆製造者として記録されているフリードリヒ・ステッドラーの子孫が創業1835年に創業した伝統あるメーカー。
STABILO (スタビロ)
スタビロの創業は1855年。蛍光ペンやサインペンは日本でも広く流通しているのではないでしょうか。カラーバリエーションが豊かなサインペンPoint88の総販売数は30億本にものぼるそう!
Montblanc (モンブラン)
ドイツ、ハンブルク発祥の高級筆記具メーカー。1906年創業で、今日では腕時計、フレグランス、革製品の販売も行っています。
Faber-Castell (ファーバーカステル)
1761年創業で世界最古の筆記具メーカーといわれるファーバーカステル。1851年には鉛筆の長さ、太さ、高度の基準も作成し(六角形の鉛筆デザイン)、この基準は今日でも世界中で使用されており、色鉛筆においては最高峰と評価され、世界中の芸術家からも愛されているブランドです。
以上のメーカーは一部で、まだ多くの有名なドイツの文房具メーカーが存在します。どのメーカーも世界的に有名で、ブランドとしても確立しており、長い歴史を持っています。ドイツ製文房具の魅力はシンプルなデザインと実用性の高さで、流行や革新性よりも、長く愛され続ける伝統的な製品が特長として挙げられるようです。
鉛筆大国
ではドイツの文房具はなぜ優秀なのでしょうか。これは文房具メーカー個々の歴史を見てもわかるように、ドイツでは文房具製造の長い歴史があります。鉛筆の歴史を手掛かりにしてみましょう。
最も基本的な文房具ともいえる鉛筆は、芯の部分は黒鉛、そしてそれを取り囲む木材が主な原料です。この黒鉛は1560年代のイギリスの鉱山で発見され、細長く切ったものを木で挟んだりして筆記に使われていたのが鉛筆の原型です。同時代、スイスのドイツ系博物学者ゲスナーも鉛筆を使用しており、1565年の研究書にはこの鉛筆に関する記述もあるそうです。
そして1662年には、フリードリヒ・ステッドラー、そう、今日のステッドラーの創始者の先祖にあたる人物が、鉛筆製造許可願いを町当局に申請しているという記録が残っています。最初は却下されたこの申請ですが、1675年には鉛筆製造業者としてギルド(職業組合)を作ることが許可されました。
先に述べたファーバーカステル社については、六角鉛筆の基準を作成しただけでなく、鉛筆に社名の刻印を付けるアイデアも初めて行い、筆記用具のブランド化を成功させました。ドイツ文具メーカーの成功により20世紀初頭までドイツは鉛筆製造の主要大国であったのです。
今日では、パソコンの普及やデジタル化の影響により文房具の需要は下がっているようですが、ドイツ製の愛すべき文房具たちもぜひ使用してみたいものですね。
参考HP
これまで【日本人からみると不思議なドイツ事情】、【ものづくりの国ドイツ】を担当してまいりました、HHです。京都生まれ。ドイツ・フライブルク大学卒。留学中に得た経験をもとに、独自のアンテナを張って様々な側面からみたドイツをお伝えしていきたいと思います!皆さまのドイツ文化に関する興味・関心、ブログの感想もぜひ聞かせて下さいね。
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