ドイツ語圏の国々 ルクセンブルク
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ルクセンブルクは、ヨーロッパ北西部に位置する人口57万人の小国です。東はドイツ、南はフランスに囲まれ、北と西にはベルギーが位置しています。面積は2,586km2で、佐賀県、または神奈川県ほどの広さです。ドイツ語、フランス語を公用語とする国のひとつですが、ルクセンブルク語も公用語として使用されています。
富裕国ルクセンブルク
正式名称ルクセンブルク大公国(ルクセンブルク語Groussherzogtum Lëtzebuergドイツ語Grossherzogtum Luxemburg)は、国連ではミニ国家とよばれる小国ながらも、その国力の強さは世界トップクラスで、一人当たりGDPは、20年連続1位を獲得していることでも有名です。20世紀初頭から1960年代までは鉄鋼業が盛んでしたが、鉄鋼産業に翳りが見え始めたので、金融業にのりだし、今日ではユーロ圏における金融センターの中心地となりました。事実上のタックスヘイブン(tax haven)であるため、外国資本も多く進出しています。特筆すべきは、世界トップクラスの富裕国でありながら、社会的格差を作らないような配慮もされており、例えば居住者の45.3%が外国出身者ですが、外国人差別意識は少ないそうです。
多言語社会ルクセンブルク-ヨーロピアン・アイデンティティ
冒頭に書いたとおり、ルクセンブルクの公用語は、フランス語、ドイツ語、ルクセンブルク語の3つです。ルクセンブルク語は、中部ドイツ語に属するモーゼル・フランケン方言のひとつとされていますが、使われている語彙にはフランス語からの影響も多く見られ、ドイツ語の変異形ともされています。
ルクセンブルク人は、歴史的には、フランス化したドイツ人といわれています。スイスと同じく三言語併用社会ではありますが、スイスはそれぞれ異なった地域で、それぞれの言語が話されているのに対して、ルクセンブルクでは、一人の人間が三言語を使いこなし、全ての公用語が国内で等しく通用しているという点で異なります。また、各言語にはそれぞれ役割があり、公的な場や法律用語にはフランス語が使われ、日常的にはドイツ語、ルクセンブルク語で話すそうです。
穏やかな町並み
また、先に述べたように、人口の半数近くが外国出身者で、外国人労働者も多く、毎日国境を越えて通勤してくるベルギー人、フランス人、ドイツ人、そして、ポルトガルからの移民も多く外国人全体のマルチリンガル、マルチカルチャーな国であるが故、ルセンブルク人は、ヨーロピアン・アイデンティティを強く意識しており、その強さが、ルクセンブルク国民としてのアイデンティティを養っているという多重性があるようです。この背景には、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの共同体であるベネルクス三国を打ち立て、EU形成の原型となっているということにも関連しているようです。
多様な民族を抱えながらも、軋轢も少なく差別も少ないルクセンブルク。三言語を公用語とし、国際社会の多様性による利益を享受し、共存を成功させている数少ない国のひとつといえるようです。
参考HP
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%AF
- https://bunshun.jp/articles/-/11630
- https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/luxembourg/data.html#section1
- https://www.mightytraveliers.com/luxemburg-spaziergang-durch-eine-stadt-zwischen-mittelalter-und-moderne/
- https://www.lit.osaka-cu.ac.jp/UCRC/wp-content/uploads/2008/03/p53.pdf
これまで【日本人からみると不思議なドイツ事情】、【ものづくりの国ドイツ】を担当してまいりました、HHです。京都生まれ。ドイツ・フライブルク大学卒。留学中に得た経験をもとに、独自のアンテナを張って様々な側面からみたドイツをお伝えしていきたいと思います!皆さまのドイツ文化に関する興味・関心、ブログの感想もぜひ聞かせて下さいね。
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