ドイツ最大の島 リューゲン 

ドイツにも島があるのをご存じでしょうか。ドイツで一番大きな島は、ドイツの東北部メクレンブルク=フォアポンメルン州に属するリューゲン島でバルト海にあります。夏は海水浴のための旅行者も多く、ドイツ人からも人気の観光地ですが、なかなか日本人向けの観光案内では取り上げられることはありません。今回はリューゲン島について紹介します。

バルト海に浮かぶ白亜岩の島

 

日本には6852の島々がありますが、ドイツには92の島々があります。ヨーロッパの中央に位置するドイツは、周辺9か国に囲まれる内陸国なので意外と多いという印象でしょうか。

バルト海に浮かぶリューゲンはその立地から、17世紀にはスウェーデンの支配下にありましたが、その後プロイセン王国に占領され、18世紀には再びスウェーデンへと返還、その後のナポレオン戦争期にはキール条約により、再びプロイセンの領土になりフォアポンメルン州の一部となりました。

島には見所も多く、19世紀末から保養地として栄えているビンツは島内一の海水浴場があります。老舗のホテル、クアハウスビンツはプロイセン王国の皇族たちも好んで利用していたとのことです。リューゲンの海水浴場には、Strandkorbという独特のビーチチェアが無数に立ち並ぶ景色もよく見られますが、これはバルト海の特徴的な景色です。

ヤスムント国立公園には、13世紀から存在するブナの原生林がありユネスコの自然遺産にも指定されています。また、リューゲンのシンボルともなっている白亜岩の岸壁があり、これは氷河期からの地層です。この岸壁は、ドイツロマン主義の画家、カスパー・ダーヴィット・フリードリヒ(1774-1840)の作品群のモチーフになっていることでも有名で、彼の描いたロマン主義的な自然は、自然を愛するドイツ人の琴線にも触れるようです。

立ち並ぶStrandkorb
立ち並ぶStrandkorb

 

ナチスの遺産、巨大廃墟プローラ

 

リューゲンには世界最大ともいわれる巨大廃墟もあります。Prora(プローラ)と名付けられた労働者用の巨大複合保養施設を備えた海水浴場で、1936年から1939年にかけてナチスの労働者組織、歓喜力行団(Kraft durch Freud ・国民に余暇活動を供給した組織)によって海岸沿いに建設されました。

しかし、この保養施設は、第二次世界大戦の勃発により、未完成のまま一度も保養施設として使われることはありませんでした。プール、劇場、映画館、ホールなどの建設も計画されていた巨大施設で、宿泊棟の客室数は2万室が計画されていました。建物は海沿いに4.5キロに渡って建ち並び、その姿からKoloss von Prora(プローラの巨人)と名付けられて、廃墟となった今日では、まさに巨人という名にふさわしい不気味な迫力があります。典型的なナチス建築ともいわれ、その巨大さゆえに長らく再利用の目途がつかなかったようですが、今日では、部分的に博物館やユースホステルとして再利用されています。

哀愁漂うプローラ
哀愁漂うプローラ

 

本土のドイツとは違った魅力に溢れたリューゲン。美しい自然に囲まれた島は透明感も高いですが、巨大廃墟といったいわばダークな側面もあり、なかなか興味深い土地なのです。

 


参考HP

 

 

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