ドイツのチップ事情
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Trinkgeld(トリンクゲルト)-ドイツ語でチップのことを指しています。欧米社会で根付いているこのチップという制度、日本には存在しないため、「日本人はチップを払わない」というレッテルを貼られ、しばしトラブルの種となることもあります。今回は、このチップ事情についてお伝えします。
チップとは?
チップとは、ホテルやレストラン、タクシー、トイレなどでの支払いとは別で、サービスを受けたことに対しての感謝の意として、店員個人に渡すいわゆる「心づけ」であり、義務ではありませんが、余程ひどい対応をされない限りは支払うものと考えたほうがよいでしょう。ドイツ語では、Trinkgeldと言いますが、これは文字通り、飲み代、「これで一杯やってね」というような意味合いが由来です。しかし、実際のところチップはどれくらい支払うのが妥当なのでしょうか。欧米諸国、アジア諸国でも浸透しているこの制度は、国によってもまちまちで、感謝の意を表すといわれてしまうと、何にでも価格が厳密に決まっている社会で生活している日本人としてはちょっとわかりづらいかもしれませんが、ドイツでは実質、支払うべき料金の5%から10%が相場とされています。
チップの歴史
ドイツにおけるチップ制度は、14世紀にはすでに存在していました。最初は貴族から農民への小さな喜捨ほどのもので、あまり大きな意味もなかったということです。しかし16世紀ごろから、都市間の交通ルートの発達に伴い、もともと無料であった宿屋や酒場などは有料となり、宿泊客への給仕のため、人を雇い入れ、食事、寝床、馬の手入れなどのサービス提供をすることとなりました。このような背景がTrinkgeldの起源にあるとドイツのとある歴史学者は分析しています。
また、一説によると、チップ制度が今日のような形態となったのは16世紀のロンドンともいわれています。レストランには、“To Insure Promptness”(迅速性を保証します)と書かれたお金を入れるための小箱が置かれており、この頭文字をとってTip(チップ)という言葉ができたとのことですが、実際の真偽のほどは定かではありません。
似たような仕組みとして、日本でも、旅館などで渡す「お茶代」や「心づけ」というものが存在しました。これらは江戸時代から行われていた習慣でしたが、明治、大正と近代化が進むとともに廃れていきました。
外国人観光客が日本にも増えてきましたが、居酒屋などでのお通し代は外国人の方には馴染みがなく、「注文してないのにどうして?!」とトラブルの種になることも近年、問題視されています。日本人がチップ文化に馴染みがないことで起こるトラブルと似ているかもしれませんね。飲食店は、異文化間の習慣や制度の違いに対する配慮の必要性が高い場ともいえるでしょう。
参考HP
これまで【日本人からみると不思議なドイツ事情】、【ものづくりの国ドイツ】を担当してまいりました、HHです。京都生まれ。ドイツ・フライブルク大学卒。留学中に得た経験をもとに、独自のアンテナを張って様々な側面からみたドイツをお伝えしていきたいと思います!皆さまのドイツ文化に関する興味・関心、ブログの感想もぜひ聞かせて下さいね。
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