憂鬱な11月

11月に入り日が暮れるのも早まりましたね。日本の11月は秋の深まりとともに、紅葉が景色に彩りを添えますが、ドイツでは寒くて長い冬の始まりの月で、日照時間も短くなり、雨も多く、陰鬱な季節なのです。Novemberdepression(11月うつ)とはよく言ったものです。今回はそんなドイツの11月についてお伝えします。

 

 

憂鬱な季節・貴重な日光

 

日本とは異なる気候のドイツですが、緯度をみれば一目瞭然です。日本からドイツへ飛行機でアクセスする際の玄関口となる街フランクフルトは、ドイツの中央からやや南西よりに位置しており、北緯は50度3分、東経8度36分です。この緯度を日本周辺地図で比べると、なんとサハリン(旧樺太)の中央辺りに位置していることになります。

ドイツと日本の日照時間にも歴然とした差があります。12月の東京では平均166時間に対し、ドュッセルドルフでは平均40時間(ニュースダイジェスト調べ)と実に東京の4分の1しかないのです。

さらに、日の出と日没の時間も比較してみましょう。地域差はありますが、本日11月11日の東京の日出は6時12分、日没16時38分ですが、フランクフルトは日出7時31分、日没16時46分となっています。日没には差がありませんが、日の出は差が大きいですね。ちなみに冬至のフランクフルトでは、日出8時21分、日没16時25分となっています。これが北ドイツになるとさらに日没が15時台になりますので、いっそう夜の時間が長くなることが分かります。

 

 

11月よりも12月のほうが日照時間も少なく日没も早いのですが、世間はクリスマス前で、街は賑わい、イルミネーションも華やかなので、寒くて暗いながらも楽しい季節といえます。しかし11月は大きな行事もなく、どんどん厳しくなる寒さと太陽の不在のせいで、かなり辛い季節という印象があります。

Winterdepression 辛い冬季うつ

 

太陽が恋しいと切実に感じるドイツの冬。日焼けを極度に避ける日本人女性とは対照的に、ドイツ人は何かと日光浴を好みますが、それもまた当然のことと実感します。

そしてこの日照時間の短さは健康状態にも様々な影響を与えます。ビタミンD不足からくる骨軟化症、骨粗鬆症といった身体的な病症のみならず、冬季うつといった季節性情動障害と呼ばれる精神的な病症もあります。冬季うつは、高緯度地域、女性、若年者の発症率が高いといわれ、日照時間の短縮との関係性から冬季を中心に発症するとされています。気分の落ち込み、過眠、過食、倦怠感といった症状があり、光線療法などが有効とされています。また、春を迎える3月頃には自然と治るともいわれています

日本でも毎日曇りや雨が続けば、陰鬱な気持ちになるのは想像がつきますが、ドイツでこの11月の雰囲気を味わうと、「人はなぜ生まれ、そして死んでいくのか」などと問う哲学のような重い学問がこの国で発展した理由も腑に落ちる気がします。

憂鬱な11月を乗り越えて、早く楽しい12月を迎えたいものですね。


 

参考HP

 

 

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