ハロウィン?St.マルティン!
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秋も深まりをみせてきましたね。10月といえばハロウィン。街中でもハロウィンの飾りつけを見かけることが多くなりましたね。日本でもすっかり根付いたお祭りですが、ドイツでもハロウィンのお祭りはするのでしょうか?
湾岸戦争とドイツのハロウィンの意外な関係
ケルト民族の古い風習が起源であるハロウィンは、アメリカで民間行事として定着しています。
近年ではドイツでも、子供のお気に入りのイベントとなり、子供たちは様々な仮装をして、家から家へお菓子をおねだりして回ります。若者たちにも人気で、パーティーのきっかけには持ってこいのテーマのようです。
しかしドイツでは、90年代初頭までハロウィンは全く知られていませんでした。一体どのようにしてドイツで広まったのでしょう。
ハロウィンがドイツで拡がった背景には湾岸戦争が関係しているそうです。
1991年、湾岸戦争が勃発したこの年のドイツのカーニヴァルは、自粛ムードにより中止になりました。
この影響で、ドイツ国内のカーニヴァル用仮装グッズを取り扱う会社は大打撃、そして今後も何かしらの戦争や災害の影響で同様の事態が起こるのを懸念して、打ち出した策がハロウィンをドイツでも定着させよう!という案だったのです。
これが功を奏して、ハロウィンの認知度があがり市場も確立され、すっかり定着したのです。
バレンタインデーはお菓子屋さんの策略とはよく言いますが、ドイツのハロウィンは、湾岸戦争の影響を受けた仮装グッズ屋さんの商戦だったのです。
聖マルティン祭り
さてハロウィンは近年定着したお祭りですが、ドイツにはハロウィンに似た風習の伝統行事がもう一つあります。
聖マルティン祭りというキリスト教の聖人を称える祝祭の日で、ハロウィンが終わってすぐの11月11日に行われます。
聖マルティンは4世紀のローマ帝国軍の騎士であり、ドイツ・フランスの守護聖人にもなっている人物です。慈悲深い人柄で、寒さに震える物乞いへ自分のマントを切り裂いて分け与えた逸話が有名です。
聖マルティン祭りの主役は子供たちで、彼の命日とされている11日の黄昏時になると、子供たちは幼稚園や小学校で自作したランタンを手にマルティン祭の歌を歌いながら、その町の市長が扮する騎士マルティンを教会まで行列を成して案内します。
また家々を訪問して、そこでもマルティン祭の歌を歌い、お菓子をもらうのです。これはハロウィンにも通じるものがありますね。
冬に向けて、様々な伝統行事が目白押しのドイツですが、ハロウィンのように、異文化から輸入された表面的な祝祭への批判の声も高まっているそうです。
そもそも10月31日はプロテスタント圏では「宗教改革の日」という祝日、カトリック圏の州でも11月1日は「諸聖人の日」(Allerheilligen)という祝日であり、厳粛なムードを重んじる沈黙の日とされているため、ハロウィンのようなイベントが禁止されている地域もあるそうです。
日本でも近年のハロウィンにおける経済効果の高さは注目されていますが、同時に、行き過ぎた乱痴気騒ぎへの批判も多いので、ドイツと似た社会現象がありますね。
商業化されすぎたお祭りは軽薄な文化かもしれませんが、かわいい子供たちの訪問なら大歓迎?でしょうか。
参考HP
- Halloween Wikipedia
- Halloween Süsses oder Saures? Spiegel online
- 聖マルティン祭―愛と慈しみの聖人の祝祭―
- Martinssingen Wikipedia
- 聖マルティヌスの日
これまで【日本人からみると不思議なドイツ事情】、【ものづくりの国ドイツ】を担当してまいりました、HHです。京都生まれ。ドイツ・フライブルク大学卒。留学中に得た経験をもとに、独自のアンテナを張って様々な側面からみたドイツをお伝えしていきたいと思います!皆さまのドイツ文化に関する興味・関心、ブログの感想もぜひ聞かせて下さいね。
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