ドイツの迷信あれこれ
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科学的/資料的な根拠はないけれど、言い伝えられている迷信・伝承・風習。日本にもみんなが知っているような迷信や縁かつぎは色々ありますよね。「夜に爪を切ると親の死に目に会えない」「蛇の抜け殻をお財布にいれておくと金運があがる」etc..さて、ドイツにもこのような迷信があります。どのようなものがあるのでしょうか。
誕生日の前祝をすると不幸になる
以前、本ブログでもお伝えしましたが(ドイツの誕生日事情)、ドイツでは誕生日を迎える前に誕生日祝いを言うことをかなり忌み嫌います。もし前祝されると、早死にする、不幸になるといわれていますが、起源は不明ですが、背景には、当日までに何が起こるかわからないからという考えもあるそうです。フランスやオランダ、オーストリアなどの近隣諸国にはないドイツ特有の迷信です。
黒猫が左から横切ると不吉なことが起こる
元来、ケルト民族や、北欧の神話などでは黒猫は幸福の象徴とされていました。しかしヨーロッパでキリスト教化がすすみ、旧来の宗教が異端視される中で、幸福の象徴だった黒猫が、魔女の手先、悪魔のしもべというイメージに塗り替えられていったのだとか。13世紀にはローマ教皇グレゴリウス9世の勅令に「サタンの忠実な下僕であり、また魔王ルシファーの体の半分も黒猫であり、悪魔崇拝の儀式で黒猫と化すのである」とあるほどです。とんでもないこじつけですが、このような歴史が転じて今日でも迷信として残っているのでしょう。
梯子の下を通ると不吉なことが起こる
立てかけてある梯子の下を通ると不吉。これは迷信というより、現実的に梯子が倒れてくる恐れもあり危険だからじゃないの?と思いますよね。でもこの言われもどうやらキリスト教に由来するそうです。梯子をたてかけると壁と床と梯子で三角形ができますが、これがキリスト教の教義である聖なる三位一体(神・子・精霊)として見られ、この下を通ることで聖域が乱され、悪を引き寄せるという考えだそうです。
こうしてみるとドイツというよりも西欧社会の迷信の基盤にはやはり、キリスト教からの影響が根強いようです。さて、では、不吉なことばかりではなく、幸運を呼び寄せるといわれる迷信はどのようなものでしょう。
幸運のシンボル、煙突掃除屋、豚、きのこ
日本でポピュラーなのは、茶柱、招き猫などがありますね。ドイツでよく見かけるラッキーアイテムは、豚、クローバー、キノコ、蹄鉄などです。日本と共通するのはクローバーくらいでしょうか。
ドイツで豚は縁の深い存在です。北欧神話では、グリンブルスティという猪が豊穣の神フレイの乗り物とされており、この由来で豚が富の象徴とされました。実際、ドイツでは豚が古くから主要蛋白源とされ、重要な糧であるが故、富そのものであることは間違いありません。イスラム世界では不浄の動物とされているので対照的ですね。
キノコ(毒性の強い真っ赤なベニテングダケ)が幸運のシンボルという由来は、ゲルマン信仰によるもので森の自然と美の象徴とされていたと一説にはあります。
四葉のクローバーは日本でも定着したシンボルですね。所説ありますが、こちらもキリスト教の三位一体を表しているから、旧約聖書の創世記でエヴァが楽園を追われるときにお守りとして持っていたなど、キリスト教にまつわるエピソードが多いです。
そもそもドイツ語で迷信という意味のAberglaubeの語源は、ラテン語のsuperstitio から転じており、「信仰に背くもの」(super stitio/aber[wider] Glaube)という意味で、キリスト教の教義に背く信仰内容と形式という概念が根本にあります。
21世紀の今日でも無根拠とわかりながらも、私たちが迷信を無意識に気にしてしまうのはなぜでしょう。廃れることのない言い伝えは、血肉にしみ込んだ古来の民間信仰の歴史の深さを表わしているかのようです。
参考HP
https://www.wissen.de/lexikon/aberglaube
https://blog.employland.de/unglueck-deutscher-aberglaube/
https://reki.hatenablog.com/entry/171017-Why-Blackcat-Unlucky
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/09/01/032214
https://de.wikipedia.org/wiki/Glücksbringer
これまで【日本人からみると不思議なドイツ事情】、【ものづくりの国ドイツ】を担当してまいりました、HHです。京都生まれ。ドイツ・フライブルク大学卒。留学中に得た経験をもとに、独自のアンテナを張って様々な側面からみたドイツをお伝えしていきたいと思います!皆さまのドイツ文化に関する興味・関心、ブログの感想もぜひ聞かせて下さいね。
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