丸見えでも気にしない、カーテンする?しない?

ドイツに滞在してみると、カーテンをしていない家庭が多いことに気づきます。

部屋の中が外から丸見えでもあまり気にしていないようで、夜は間接照明を付けて歓談を楽しんだりしている姿や、読書をしてゆったりと過ごしている姿が浮かび上がり、なんともヨーロッパ的な情景にみえます。

一方日本では、昼間は薄手のカーテン、夜は厚手のカーテンと使い分けまでして屋内を隠していますね。この違いも文化的な背景があるのでしょうか。

 

 

 

欧米諸国のカーテン事情

 

さて、カーテンをしないのは、欧米諸国全体の文化かと思いきや、各国、地方によってばらつきがあるようです。アメリカの都市部や、パリはしていない家が多い、イギリスは閉めている、ベルギーは自国のカーテン文化に誇りを持っている、ドイツも人によってはインテリアとして取り付ける・・・など様々なようです。とはいえ、日本のように家の中が見えぬよう、ぴったりと締め切るということは、欧米ではあまりないように思えます。

 

欧米諸国の中でも、カーテンをしないことで最も有名なのは、オランダのようです。オランダの家屋の通りに面した窓は大きくて輝くほど磨かれ、外からは、家の奥の間取りまでわかるほど見通しが良く、生活風景が丸見えなのです。

この理由は諸説ありますが、プロテスタントの多いオランダでは、プロテスタントの美徳とされる清貧さと清廉さを表明するかのごとく、開け広げにして家の中を見せ、隠すことなど何もないことを主張しているのだという説明はよくされています。

 

興味深いのは、かつてオランダではカーテン税があったから、オランダ人はそれを節約するためにカーテンをしない習慣が今日でも残っているのだという都市伝説までドイツ人の間で流れていることです。(カーテン税が存在したことはありません)ドイツ人にとっても、オランダ人がカーテンをしないことを不思議に思っているようで、揶揄的にこんな説が流れているようです。

オランダ、デン・ハーグの通り

 

見せる文化、隠す文化

 

オランダは清貧さを尊び、見せる文化といえますが、一方、日本でも「清貧」はよいイメージですが、昼間でもカーテンを締め切っているのも珍しくありません。日本はそもそも何でも隠してしまう体質があるように思えます。

カーテンもそうですし、服装の露出も欧米に比べると控えめです。

レストランで用意された荷物カゴにも布を被せますし、笑うときには口に手を添える。こうして分析すると興味深いですね。反面、「日本人はシャイだけど、何故か洗濯物はベランダに平気で、しかも下着まで干している・・・なぜなんだ?」というドイツ人の声も聞いたことがあります。

 

その起源をさかのぼるとカーテンには数千年以上の歴史があり、古代エジプトでも遮光のために使われていました。またユダヤ・キリスト教ではカーテンは「聖と俗」を分かつものという象徴的で特別な意味も与えられており、実用性があるばかりの存在ではないようです。

 

日本にカーテンが普及したのは1960年代で、まだ50年程度の歴史しかないのです。欧米化による家屋、生活様式の変化とともに一般普及したカーテンが、日本文化と交わり今のような使用形態になったといえるでしょう。さて、あなたはカーテンを閉めますか?開けておきますか?

 


参考HP

 

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