ドイツのキラキラネーム?
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あなたにはドイツ人の友人、知人はいますか?
ヤン?クリスチャン?ミヒャエル?女性ならザラ?ステファニー?アンジェリカ?これらの名前は、いずれもドイツの1950年代、1979年、1999年の人気の名前第一位なのです。
ドイツ語圏の人名は基本的に聖書から名付けられているせいか、日本の名前ほどヴァリエーションが多くない気がしませんか?それもそのはず、ドイツでは子供の名前に関して厳しい規定があります。それでも、時代ごとに流行りもあり、日本のようにちょっと変わった名前をつけようとする傾向もあるようです。
「ルシファー」(堕天使)は禁止!
ドイツ・カッセルで自分の息子にルシファー(Lucifer)と名付けようとして、裁判で退けられた事例があります。ルシファーとは語源的には光をもたらす者という意味ですが、これはキリスト教における堕天使の名前で、いわゆるサタン(悪魔)のことです。日本でも似たような騒動がありましたね。
さて、ドイツではこのように社会通念上常識を欠いた名前や、嘲笑の対象となるような名前、子供の人格を否定するような名前、イエスを裏切った使徒ユダや、アダムとイヴの長子で弟を殺害したカインなどの悪人を連想させる名前を子供につけることは禁止されています。
また、場所名(町の名前など)、ブランド名、肩書や地位を象徴する名前なども禁止で、苗字と判別し難いような名前も受理されない場合があります。その一方で日本と異なる文化としては、複数の名前(ミドルネームなど)をつけることもできます。
受理されなかった名前
さて以上のような子供の名前に関する厳しい規定のため、受理されなかった名前はいろいろあります。
マクドナルド、レーニン、サタン、スプートニク…どのような思いで名付けられて、出生届を出されたのでしょうか…。疑問です。そして一方、受理された変わった名前も様々です。
1999年にはFanta, Jazz, Mikadoなどが認められました。まさに日本のキラキラネーム並みかもしれませんね。
商品名ですよね…
変わった名前がつけたい!-ケヴィニズム(Kevinismus)、シャンタリズム (Chantalismus)
さて、ここで感じるのは、やはりドイツ人でも日本のようにいわゆるキラキラネームをつけたいという親の願望があるということです。
またそのような傾向は揶揄的に「ケヴィニズム」と言われています。これは、以前ドイツでは珍しかった「ケヴィン」という英米系の名前が突如流行り出したことに由来しているそうです。
そして、珍しい名前によって生まれる社会的差別も問題となっているようです。これも日本の状況と少々似ていますね。
ちなみに2019年現在の人気の名前は、女の子では、三位がユリア、二位がエミリア、一位がザラとなっています。男の子では一位がアーチー、二位がサミュエル、三位がユリアンです。
一位のアーチーは、おそらく英国王室に今年誕生したアーチー王子の影響でしょう。
名前の流行や、珍しい名前を子供につける現象は、日本では鎌倉時代からあったという説もあります。
兼好法師も徒然草で「人の名も、目慣れぬ文字を付かんとする、益なき事なり。」と言って嘆いていました。
最近の日本人の名前はバラエティに富んでいますが、ドイツにも同様の社会現象があるのですね。
参考HP
http://half-sandra.com/column/2011/08/27/349.php
https://de.wikipedia.org/wiki/Vorname_(Deutschland)
https://www.vorname.com/verbotene_vornamen.html
http://www.newsdigest.de/newsde/news/featured/8124-1035/
https://www.beliebte-vornamen.de/
https://www.welt.de/vermischtes/article1473334/Kevinismus-vermeidbare-Kinderkrankheit.html
https://www.ito-tomohide.com/entry/2015/11/25/220746
これまで【日本人からみると不思議なドイツ事情】、【ものづくりの国ドイツ】を担当してまいりました、HHです。京都生まれ。ドイツ・フライブルク大学卒。留学中に得た経験をもとに、独自のアンテナを張って様々な側面からみたドイツをお伝えしていきたいと思います!皆さまのドイツ文化に関する興味・関心、ブログの感想もぜひ聞かせて下さいね。
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