ビール大国ドイツ
ドイツといわれてビールを思い浮かばない人はいないのではないでしょうか。ビールなしにはドイツを語れないと言っても過言ではないでしょう。さらに4月23日は、ビールとは何かを規定したドイツのビール純粋令(Reinheitsgebot)が制定された日であり、ビールの日とされています。「ビールは、麦芽・ホップ・水・酵母のみを原料とする」という内容のこの法律は、1516年、つまり503年も前に定められました。ドイツビールは、この純粋令を守りながらも、種類は豊富で、子供用や、妊婦さんが飲むと良いと言われるノンアルコールのビールまであるというのですから、驚きですね。なお、ドイツでは16歳からビールの飲酒が許されています。今回はドイツの多様なビール文化をご紹介します。
母乳に良い?マルツビール
通称マルツビールとは、アルコールは0.5%以下のノンアルコールビールの一種です。しかし砂糖が含まれているため、ビール純粋法に反しているので、事実上はビールと名付けることは許可されておらず、正式には麦芽(マルツ)飲料といわれています。タンパク質、炭水化物、マグネシウム、カリウム、カルシウムと栄養豊富で、母乳に良いといわれ、妊婦さんにもおすすめされているようです。しかし、実際のところ、科学的にはその効果は証明されておらず、民間療法的なもののようです。
さて、このマルツビールですが、子供用のビールともいわれており、味は甘くほんのり麦芽の香りのするジュースといったところでしょうか。厳密にはビールではありませんが、妊婦さんや子供のためのビールとして親しまれているマルツビール、ドイツのビール文化の幅広さを感じますね。
16歳でビール解禁
ビール大国のドイツ、日本との大きな違いは、飲酒の年齢制限にあります。ドイツの青少年保護法では、アルコール飲料は蒸留酒類と、その他のアルコール飲料の2つに分けて規制されています。蒸留酒類は、18歳から、その他のアルコール飲料(ビール・ワイン・リンゴ酒など)は、16歳からの飲酒が許されています。そしてさらには、保護者が同伴していれば、14歳からでも蒸留酒以外のアルコール飲料であれば飲酒できるというのですからびっくりです。中学2年生の息子が父親とビールを酌み交わす・・・ちょっと日本では想像できませんね。ドイツ人と日本人ではアルコール耐性も違うのでしょうが、健康上、社会上の問題はないのかどうか、日本人としては気になりますね。
ドイツでもお酒離れ?
ドイツでは約130万人がアルコール依存症と診断されており、飲酒を始める初期の時点で、悪癖がつかぬよう若者への飲酒に関する注意も呼びかけられており、社会的にアルコール依存症への懸念は高まっているようです。しかし、ドイツの厚労省の2016年のアンケートによると、ドイツの青少年による飲酒は年々減少しており、一週間に一度飲酒しているのは、約10%で、2004年の調査と比べると10%も減少しています。また、初めてお酒を飲み始める年齢も上昇していて、2004年では15歳でしたが、2016年では16歳でした。飲酒の習慣は日本でも減少傾向にありますが、これは健康志向にある現代社会で似通った傾向といえそうですね。
とはいえ、ビールはいわばドイツの象徴でもあり、オクトーバーフェストはいまや日本各地で行われる人気のイベントです。4月23日はドイツのビールの日を祝って、ドイツビールで乾杯してみませんか?
参考HP
- Tag des deutschen BieresTag des deutschen Bieres
- Tag des Bieres
- wikipedia – Vitamalz
- Mineralien im Malzbier sind gut für Schwangere
- お酒の代謝能力の違い
- Zeit.de – Alkohol verliert Wert
これまで【日本人からみると不思議なドイツ事情】、【ものづくりの国ドイツ】を担当してまいりました、HHです。京都生まれ。ドイツ・フライブルク大学卒。留学中に得た経験をもとに、独自のアンテナを張って様々な側面からみたドイツをお伝えしていきたいと思います!皆さまのドイツ文化に関する興味・関心、ブログの感想もぜひ聞かせて下さいね。
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