トランスユーロ株式会社 代表取締役 加藤勇樹
「プロフィール」

ドイツ系法律特許事務所の翻訳者として30年以上の翻訳経験があり、トランスユーロ株式会社の代表に就任した今でも現役の特許翻訳者である。NIPTA(日本知的財産翻訳協会)の理事でもあり、特許翻訳者の育成にも従事している。

「講師より一言」

悲しいことに、日本におけるドイツ語の人気は、あまり高くありません。ドイツ語学習者も年々減少しているようです。優秀な学生さんでさえも「将来はドイツ語で食べていく」という発想を持たなくなっています。そんな中で特許翻訳という分野は、ドイツ語を使って食べていける数少ない職業の一つであると思います。
ただし、特許の文章は、ドイツ文学とは大きく異なります。電気や化学や機械の技術的知識なしに翻訳することは不可能です。しかしその一方で、特許の権利範囲は、目に見えるものではなく、言葉で括られるものなので、語学能力も必要です。
翻訳者の語学能力をフルに駆使して、原文の持つ権利範囲そのままに日本語に変換することが求められます。そのためには、ドイツ語の用語が持つ概念そのものを理解しなくてはなりません。前綴りや前置詞の役割をしっかりと把握できなくてはなりません。その上でドイツ語を日本語に置き換えていきます。これが特許翻訳の醍醐味です。言語的な知識と、技術的な専門知識の両方がそろってはじめて一流の特許翻訳者になれます。この道は、決して易しいものではありませんが、情熱を持って打ち込めば、あなたのドイツ語の能力をいかんなく発揮できる絶好のステージを手に入れることができます。
是非とも、一緒に「ドイツ語で食べていける」ロックなステージを目指してみませんか?



森末 伸行
「プロフィール」

法学博士。ミュンヘン大学客員研究員を経て帰国後、中央大学法学部教授として勤務。退任した現在は、トランスユーロの法律翻訳者を兼ねながら法律翻訳者の育成に携わっている。

「講師より一言」

私は法学部3年生のとき、ドイツ語の専門書を読む必要ができて、それでドイツ語をあらため真面目に勉強し始めました。法学部の勉強のなかで、法学の各分野そのものはあまり面白いとは思いませんでしたが、ドイツ語を勉強することは楽しかったです。なぜそうなのか、その理由は今もなお謎です。

現在の私にとってドイツ語の法律翻訳は、一つとして同じものはありませんので、毎回勉強です。ドイツ法も日本法も新法の制定や現行法の改廃がありますし、言葉と社会も変動が激しい時代です。ですが、逆にそのときそのときにあれこれ調べて何とか日本の法体系にあった訳語を探し出す、日本語の法律文書として通用する表現を考える作業はとても楽しいです。といっても、単語1個で眠れない夜もありますが。

法律翻訳は、一通り基本的な法律知識を身につけるまでが大変かもしれません。最初に大きな山があって、まずはそこを登ってみる、そうすると視界が開ける、このようにお考えくだされば良いのではないかと思います。法律翻訳に関心を持ってくださる皆さんとご一緒に勉強を進めて行くこと、私はとても楽しみにしています。